最愛の王子はスキンシップが激しいです。
「アリア、ここだよ」
そう言えば王子はいつから私の事を呼捨てにし始めたんだろう。
初めは確か"アリア嬢"って呼んでいた気がする。
私が不思議そうに王子を見ていると王子が何を勘違いしたのか私が緊張していると思ったらしい。
「大丈夫だよ、絶対にアリアとの結婚を認めてもらうから」
そう言って王子が私の唇にキスを落とす。
「緊張しないおまじないだよ」
可愛く微笑んだと思うと人差し指を唇に当ててウインクをした。
王子、スキンシップ多すぎる!!
王子好きだけど・・・いやもはや、愛してるけど・・・でもでもヒロインとでさえキスなんてしないじゃない。
最後のスチルでも手を繋いだ程度だった。
期待してしまう。
ルドルフ王子に、最愛の人に愛して貰えるんじゃないかって。
王子の手をぎゅっと握りしめて、緊張に震えながら私は声を掛けた。
「ルドルフ王子」
私の緊張がわかったのか、少し屈んで私の顔を覗き込んだ。
「どうしたの?」
「私は王子を好きなままでよろしいのでしょうか」
一瞬大きく目を見開いた後、王子は破顔した。
「勿論だよ!それ以上の愛を返すから覚悟してね」
私の体温が急激に上がる。
私の細胞全てが歓喜で熱を上げた。
王子を見つめると微笑みが返ってくる。
「アリア・・・」
王子の繋いでいない手が私の頬に伸びたその時だった。
カチャリと音がして目の前の扉が開く。
顔を上げると、めちゃくちゃ美しい女性が立っていた。