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先生vs王子様




アンドリューとアリアがランスを見ている間に一歩下がって木にもたれかかりながらルドルフは全体の様子を見ていた。


視界の隅にゲイリーが映る。

ルドルフの横に立つゲイリーにアンドリューとアリアから視線を外さずに声をかけた。


「2人のために時間を割いてくださってありがとうございます。今日の予定は大丈夫ですか?」

「ええ・・・今日は陛下にご挨拶をさせていただきました。その時に殿下も私の講義を受けてくださるとお聞きしました」


ルドルフはようやくゲイリーに顔を向けると、じっくりとゲイリーを見た。


ゲイリーの美しさは自分の父親には劣るものの、父親のような純粋な美しさとは異なり妖しい美しさを持っていると感じた。


「確かに皆が騒ぐだけあるかな・・・」


ルドルフの囁きに気づかず、ふんわりと微笑みを浮かべると、ゲイリーはアリアを見つめた。




無垢で愛らしい少女が未来の王妃。

あの小さな肩に重圧がのしかかると思うと可哀想に思えてくる。

いつまでも純粋で汚い事は何も知らないで欲しいだなんてわがままだろうか。

自分なら・・・そう考えてしまうと止まらない。




「殿下は素敵な方を婚約者にされましたね。私も後10歳若ければアリア様に求婚していました」


なるほどね、とルドルフは思う。

きっとこの短時間でアリアの人となりを知り、興味を持ち、それから好意に変わったのだろう。

それは当たり前の事だと思いつつも、やはり気に食わない。

早めに手を打った方が得策だと感じた。



「例え伯爵が10歳若くなったとしてもアリアは私を選びますよ」



ゲイリーはルドルフの言葉に一瞬目を見開き、直後に声を上げて笑った。


この自信はなんだろうか。

まだ10歳の少年がはっきりと口にする。


『彼女が選ぶのは自分だ』と。


あまりにもはっきりと爽快に言うので潔く負けた気になってしまう。

そう思わせる何かをルドルフは持っていた。

これが王家の血なのか。



「同じ失恋するなら、歳の差があった方が言い訳できますからね。今の歳の差でよかったです」

「伯爵はとても賢い方です。それも知っていたので私はアリアの講師になる事を止めなかったのです。それに・・・」



ルドルフが妖艶に微笑む。

10歳になったばかりの少年とは思えない色気にのまれそうになる。

それがわかっているのか、ルドルフはより笑みを深めながらゲイリーを手招きすると耳元で囁いた。



「・・・・・・良いかな?」


判断をゆだねている様でいて、決定事項の様な問いにゲイリーは頷くしかなかった。


「・・・かしこまりました。私の知識が殿下のお力になれるなら」

「ありがとうございます。伯爵の知識は素晴らしいと騎士の間では有名とお聞きしたので」




なぜ、一国の王子にまで知れ渡っているのかと思いながらもゲイリーは知らないままでいた方が幸せかもしれないと思い、口をつぐむのだった。




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