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王子があざと可愛いです。





「アリア・・・」



王子が眉を下げて私の頬を撫でる。


なんで私はヒロインに生まれなかったんだろう。


こんなに近くにずっと大好きだったルドルフ王子がいるのに。


ゲーム通りなら私にはルドルフ王子とは違う道が用意されている。



「泣かないで」



王子の言葉に自分が泣いていることに気づいた。

私よりも辛そうな顔をした王子が顔を近づけてそっと唇で涙を拭った。

びっくりして目を見開くとまた涙が零れ落ちる。

気付いた時には私の唇に王子の唇が重なっていた。



「っ!!」



唇が離れると私は全身から火が出るかの様に熱くなった。


私、王子とキスしちゃった?


半信半疑な私は王子を見つめると、王子は優しく微笑みながらも頬を染めた。



「アリアの言っているげぇむは"ここ"とは全く関係ないかもしれない」



私は頷いた。

いくら同じ人物がいても同じストーリーになるとは限らない。


まして、私以外のキャラも見た目と名前が一緒でも中身が違うかもしれない。



「でもね、さっきアリアが熱弁してくれたルドルフの過去の話は本当にあったんだ。湖に落ちてしまって父上が助けてくれたり。隣国の王子と仲良くなった流れも」


「えっ・・・」



それって・・・『スクールライフ』まんまってこと?

私は気が動転して涙がまた込み上げてくる。

嫌だ。



どうして私は"アリア・バーキン"に生まれたんだろう。



好きでもない人と婚約して、そのせいで・・・














「僕と結婚しよう?アリア」



私の両肩を掴み、王子が真剣な顔をして言った。

今なんて?

ルドルフ王子と私が結婚?!

夢を見ているのかと頬をつねったけど普通に痛い。

さっきまで絶望しかなかったのに、いきなり好きなヒトにプロポーズされるとかどこのヒロインだよ?!

いろんな意味で興奮して身体が熱くなる。

王子はつねった頬を「大丈夫?」と言いながら撫でてくれる。

神様!天使が居ます!鼻から血が出そうです!助けてください!!



「まだ間に合うよ。僕と結婚したらアリアはエクター・メリアドクと婚約もしないし、拐われない」



一瞬にして現実に戻った。

そうだ王子は私の為に犠牲になるんだ。

私は王子を大好きだから良いけれど、王子は?

愛されているからプロポーズされたわけではない。

何を勘違いしてしまったんだろう。



「アリアは僕が嫌いなの?」

首を傾けて愛らしい表情を向けられる。

またまた一瞬にしてテンションが上がった。


「いえ、愛してます!」

ほぼ反射で物を言ってしまった。

さっきまでの負の感情が何処かに行ってしまった。

恐ろしい、恐ろしすぎるよ王子マジック。



「じゃあ、決まりだね。父上に報告しよう!」


文字変換したらハートがつきそうな言い方にびっくりして言葉がでない。

どうして王子はこんなに嬉しそうなんだろう。



「せっかくだから一緒に行きたいけど・・・身体はどう?まだ辛い・・・かな?」



可愛い!あざと可愛い!!そんな恐る恐る見上げてみられたらだれだって快諾するでしょっ。



「全然平気です!王子を持ち上げられるくらい元気です」



王子が笑って私の頭を撫でてベッドから降りると手を差し出してくれる。



「今日はお茶会に顔出すから、今の時間なら会えるよ。案内するね」



私の手をとって部屋を出る。


そうだ。

婚約だもん。

ヒロインが現れたら潔く身を引けば良い。

それまでは王子を堪能させていただこう。

こんな機会はもう来ない。

私は腹をくくり歩き出した。



王宮で働いている人達が微笑みながらこちらを見ている。

ガラス越しに美しいルドルフ王子とアリアが写っている姿を見た。



『花』の記憶が戻ってアリアを見ると惚れ惚れするくらい美しかった。


染めてもいないのにブラウンの緩やかなウェーブがかかった柔らかい艶やかな長い髪。


メイクもしていないのに彫りが深くて大きな瞳。



『花』時代はメイクも研究して肌も髪もケアして、頑張ってたけど。

何もしないでコレなんて。末恐ろしい。







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