現実はゲームより甘々です。
私は頷いて、ルークルートにもヒロインとの恋路を邪魔する子がいてそれがフェリシティちゃんである事、妹として邪魔していただけで恋人関係ではなかったこと、オーウェン公爵はヒロインとの関係を反対していた事を話した。
「そうなんだ。現実とは全然違うね」
「はい、でも納得です」
私が頷くとルドルフが首を傾げる。
可愛くて口元が緩みそうになるのを堪えて言った。
「ゲームの中では自分がヒロインになるので、自分の邪魔になる存在であるのに関わらず、フェリシティちゃんは人気がありました。フェリシティちゃんのファンの子は本当に純粋で良い子だからルークには勿体ないとか言ってましたよ」
私はちゃんとルークルートをやっていなかったからそこまで感情移入出来なかった。
「ゲームのルークは笑顔の少ない、暗くて嫌味な感じでした。印象も大分違います」
なんかいつも機嫌が悪そうに眉間に皺をよせていた。
幸せそうに微笑んでいるルークとは大違いだ。
「・・・アリア、先に1つ言っていいかな?」
「はい。どうかされました?」
私がルドルフを見つめると困ったように眉を下げた。
「さっきからルークの事、呼び捨てにしてるけれど・・・」
あっ!
脳内ではいつも呼び捨てにしてたから。
「ごめんなさい。ゲームに出てきた人達はルドルフは王子、フェリシティ様はフェリシティちゃんと呼んでいてそれ以外は呼び捨てにしていたので・・・」
『フェリシティちゃん』というのは会った事がないSNSで知り合った、私と同じルドルフ推しの友達が良く言っていたからうつっちゃったのだ。
その子はスクールライフ好きで、私のようにルドルフの事だけ考えている偏った思想ではなく、ルドルフが1番推しだけどちゃんとゲーム全体を愛していた。
スクールライフの事を色々教えてくれた、私には師匠の様な存在だった。
・・・ルドルフ以外の話をちゃんと聞いてなかった事については今更ながら申し訳なくなってきたなぁ。
「そっかぁ・・・」
手を顎に添えて考え込むと「まあ、良いか」とボソッと言ってルドルフが微笑んだ。
なにが良いの?!
全くわからないのですが?
でも面倒だからそのままいかせていただきますけどね。
「やっぱりげぇむと違う部分があるようだね。僕の視点からすればあの父親なのによく純粋に育ったなという印象だよ。これからはフェリシティ嬢が婚約者として側にいるのだからアリアの知っているルークにはならない気がするけれど」
「はい。私もそう思います。あの性格になったのはある意味バッドエンドのような気がしますから」
愛する人と通じ合えたルークはひねくれずに育つと思う。
だからあんな風に陰気な人にはならないだろう。
私が独り頷いていたら、ルドルフが私の方に向き直って真剣な表情をして言った。
「実は・・・アリアに伝えなきゃいけない事があるんた。前に話してくれたげぇむの人物の中にゲイリー・パティンソンがいた事は間違い無いよね」
もちろん。
ヒロインの攻略対象だ。
私は頷いた。
なぜ、ここでゲイリーが出てきたんだろう。
「これから1ヶ月間、パティンソン伯爵がアリアの講師になるんだ。伯爵たっての願いでね」




