悪役令嬢の婚約。
「・・・フェリシティ様をルドルフと婚約者させようとしていたのに?」
私の言葉にルドルフはため息をついた。
「ルークを焚き付ける為でしょ」
「そのようです。でも私は中々気づかなかったのでやきもきしていたそうです」
オーウェン氏、どんだけくっつけたかったんですか?
もう勝手に婚約させればよかったじゃん。
「アリア、怒ってる?」
ルドルフが私の顔を覗き込む。
怒っていますとも。
人の旦那を当て馬のようにするなんて。
「私のルドルフをなんて事に巻き込むんだと思いました」
それを聞いたルドルフが私を引き寄せて抱きしめた。
「アリアに『私のルドルフ』って言われたの初めてだ」
腕を緩めて私の顔中にキスを降らす。
そんなことでこんなに喜ばれるなんて・・・ただの独占欲の塊みたいな言葉にだったのに・・・。
私がルドルフの背中に腕を回してギュッと服を握りしめたら、ルドルフは私の額に自分の額をくっつけて微笑む。
凄く凄く甘い微笑みだ。
飽きるどころか、私を見る瞳は日を増すごとに甘くなってくる。
「アリア・・・可愛い・・・」
ルドルフは私の唇に優しく自分の唇を押し当ててからゆっくりと唇を離すと愛おしそうに微笑みながら私の唇を指で撫でた。
「あのぉ・・・」
ルークが申し訳なさそうに声をかけてきた。
私達がそっと離れると、安心したようにルークが息を吐く。
「あはは・・・私には刺激が強すぎます」
絵に描いたような笑い方だ。
ごめんね、ルーク。
「それで婚約が決まったのですが、まだ手続きが終わっていないので内密にしていただけると」
「わかりました。おめでとうございます。ルーク」
「おめでとうございます!ルーク様」
私とルドルフがお祝いの言葉を言うとルークがはにかんだように微笑んだ。
「ありがとうございます。落ち着いたらアリア嬢に会いたいとフェリシティも言っていました」
なんと!
悪役令嬢人気ナンバーワンに会えるなんて!
いやいや、フラグかなぁ。
避けた方が良いのだろうか。
微笑みながらも頭の中で悩んでいたら、ルドルフが私の手を握ったので私も握り返した。
「お互い頑張りましょうね」
「・・・?はい!殿下達に負けないくらい幸せになります!」
私の言葉に嬉しそうに微笑むルークを見ると、ルークにとっての乙女はフェリシティちゃんな気がする。
ストーリーからは大幅に外れているけど、なぜかしっくりくるなぁ。
なんだか、現実の方が正しいみたい。
私はそんな事を考えながら大好きな人にもたれかかりながらルークの話を聞いていた。




