突然の来客。
今日はお父様にどうやら手が離せない用事があるらしく午後のレッスンがなくなった。
ルドルフはその報告がてらにお義父様の所にご挨拶に行くだけだったのに・・・一向に帰ってこない。
何かあったのかなぁと心配になってきた時だった。
【アリア?今大丈夫?】
ルドルフからの連絡(?!)だ。
お父様のレッスンを受けてからお互いの思念を送る能力が付いた。
通信機を使わなくても話せる。
囚われたとしても周囲にバレずに話せるからと一番に習った魔法だ。
とはいっても、いつも一緒にいるから練習ではなく実際に使ったのは初めてだった。
【どうされました?】
【これからルークを応接室に案内したいのだけれど、準備頼めるかな】
【ルーク様ですか?わかりました。ルーク様とルドルフ分ですね!】
【アリアもだから3人分かな】
【私もですか?!】
【うん、後十分くらいでついちゃうかも】
【わかりました!】
急いでアンドリューにお願いして準備をしてもらった。
少しだけ着飾って部屋を出る。
そう、結局私には侍女がいないままだった。
実家でも侍女はジュディしかいなかったし。
まぁ、引きこもりで着飾る事がなかったら一人で充分だったけど・・・ってジュディが良いかもしれない!
ジュディなら怠惰な生活をしていた私を知っているから楽かも!!
私はテンションが上がったまま応接室へ向かった。
「姫、準備は整っていますよ」
澄ました顔をしたアンドリューが私を迎えてくれた。
「ありがとうございます」
「来客の前では敬語を私に使わないようにしてくださいね」
そうでした。
でも年上に敬語を使わないとか難易度が高すぎる。
ノックの音がしてその音にこたえるようにアンドリューが扉を開け、私は淑女の礼をとった。
「お待ちしておりましたわ。殿下、ルーク様」
王太子妃スマイルで2人を迎えるとルドルフが私を抱きしめた。
「ただいま、アリア」
「おかえりなさいませ、殿下」
ルドルフの甘い香りに包まれうっとりとしてしまう。
腕を緩めたルドルフが私の唇にチュッとキスをした。
それを見たルークは両手で顔を覆った。
「大丈夫だよ、ルークの前ではいつものように『ルドルフ』と呼んで?」
ちらっとルークを見ながも私は素直にこたえた。
「はい、ルドルフ」
イチャイチャしてごめんなさい。
これが私達の日常なのです。
恥ずかしくなくなってきた私はだいぶ麻痺してきていると思うけど幸せだから仕方ない。




