私は悪役令嬢・・・らしい?
王子が困惑した様に顔を歪ませた。
歪ませても美しいままなのは私のルドルフフィルターのせいだろうか。
「アリアはエクター・メリアドクの婚約者なの?」
両手を振って慌てて否定した。
「いえ、ゲームではそういう設定だっただけで・・・私には婚約者なんていません」
下を向き息を漏らして、王子が悩ましげな顔をしたと思うと顔を上げて微笑んだ。
「いつ婚約したの?げぇむでは」
「確か・・・」
駄目だ、全然思い出せない。
だってルドルフ王子しか興味なかったから。
しかし、ルドルフ王子という王道ストーリーを何故全てのルートをクリアしなければ見れないルートにしたんだろう。
キラキラ王子様なんて、普通一番初めに選択出来るくらい王道なキャラなのに。
つまり私にとってエクタールートはルドルフ王子ルートの布石であり、流す様に、それは作業のようにクリアしてしまったので記憶があまりない。
確か・・・さっきのスチル・・・事あるごとに悪役令嬢は「わたくしは10歳からエクター様の婚約者なのよ!!」と言っていた様な。
あっ、簡単に答えが見つかった。
「・・10歳です」
「そっか・・・もうすぐだね」
そうだ。そしてアリア・バーキンは、婚約者のエクターに寄り添うヒロインが気に入らなくて、文句を言い続けたらエクターに卒業パーティーで断罪されて・・・。
「アリアは婚約破棄されて・・・修道院に行く間に何者かにさらわれて行方不明になりますっ!!」