アリア、ゲームを語る。
「えっ・・・?」
なんでばれてるの?
ニヤニヤしてた?
確かに何度もルドルフ王子と結婚の約束してきたけど、それは中は私だけどヒロインで・・・
「だってさっき「大好きルドルフ王子」って寝言いってたよ」
瞳を潤ませて私の額に額を押し当ててくる。
しまった!私、夢の中でゲームしてたから、声に出ちゃってた?!
「それはルドルフ王子ですが、ルドルフ王子ではないのです」
「えっ?どういうこと?」
ルドルフ王子が身を乗り出してくる。
既に額と額がくっついているので、私の額が押されている状態だ。
しかも私を抱きしめている腕が強くなった気もしないでもない。
つまりゼロ距離と言っても過言ではない・・・と思う。
「私が口にしたルドルフ王子はゲームのルドルフ王子で・・・」
「げぇむ?」
「はい。スクールライフと言う・・」
私はスクールライフの話を始めると止まらなかった。
いかにルドルフ王子が素敵で愛しているかを語り始めてしまったのだ。
しかし、目の前のルドルフ王子はびっくりした顔をしながらも否定せずに頷いて聴いてくれた。
気づけば抱きしめられていた身体は解放されて、私の手を握ってくれていた。
「知らなかったなぁ、そんなげぇむというものがあるなんて。どこで買えるの?」
「私がいた前の世界だから無理ですよ」
「ん?」
しまったと思いハッとして王子を見る。
本当の事を言ったらきっとひかれてしまう。
「・・・アリアは前世を憶えているの?」
うそ。簡単に受け入れた?
流石ルドルフ王子!懐深すぎる!
「さっきまで忘れてたんですけど、門で赤い頭の子を見たら・・・」
「赤い頭・・・ああ、エクターの事かな」
エクター・・・どこかで聞いた事がある。
どこだっけ・・・。
アリアの記憶じゃない。
スクールライフか?
オープニングムービーを思い出すと、確かに赤い頭がいた。
朝見た男の子に似ている。
ムービー最後に全てのキャラ揃った瞬間に私はルドルフ王子の手をギュッと握った。
「エクター・メリアドク」
「アリア知っているの?」
オープニングが終わった途端に様々なスチルが降り注いでくる。
まるで流星群のように、一度に沢山の記憶が戻ってきた。
ここにも・・・
このスチルにも。
間違いない。
「・・・ル・・ルドルフ王子!!」
私は涙目になりながら王子の胸元の服を掴んだ。
「私、私もスクールライフ出てましたっ!」
「ほえ?」
「エクター・メリアドクルートの悪役で、エクターの婚約者です!!」