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それは妖精のような。





「殿下、失礼ながら・・・アリア様とはどこでお会いに・・・」



アリアがエマのデザイン画に夢中になっている隙に、エマはルドルフに声をかけた。


エマは『貴族』ではない。

王家に能力を買われた事で有名になったデザイナーだった。

貴族については詳しくないが、貴族が話している噂はよく知っていた。

王家に憧れる貴族によく声をかけられるからだ。



「貴方がそんな事を気にされるなんて意外ですね」



壁にもたれかかっていたルドルフが王子スマイルで答える。

基本的にエマは仕事の話しかしない。

好きな物や事を聞くのはデザインの為であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。



「私は仕事柄・・・いえ、こちらでお仕事を頂いてから貴族の方とお話をする機会がとても増えました。皆様色々とお話をしてくださるのですが、一度もアリア様のお話を聞いた事がございませんので・・・」


あれだけの美少女が話題に上がらない訳がない。

女の子は羨み、男の子は恋い焦がれるだろう。

だが、一度だって『アリア』という名前を聞いた事がなかった。



ルドルフが口元に手を当ててクスクスと笑う。

何故笑っているのか分からず首を傾げるとルドルフは人差し指を唇に当てて妖艶な笑みを浮かべた。


「秘密ですよ?実はアリアは悪い妖精に囚われていたのです。私の父の助けもあり、ようやく救い出した私だけの妖精なんです」


それだけ言うとルドルフはアリアの元へ戻って隣に座り、一緒にデザイン画を見始めた。






「妖精・・・」


冗談だとわかっていても、ルドルフとアリアにはそれを本当の話だと思わせるような雰囲気を持っていた。


人並外れた美しさのせいなのかもしれない。








「そうよ!『妖精』だわ!今回のテーマ!!・・・アリア様!思いついちゃいました!」



エマは2人の向かいに座って新たに生まれたばかりなデザインを描き始めた。


そのデザインを見たアリアとルドルフは見つめ合い、頷いた。







「このデザインでお願いします!」



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