国の歴史はゲーム設定?!。
私は呆然とした。
今まで生きてきた記憶ともう一つの記憶、日本人である東雲花の記憶が合わさってとんでもない結論にたどり着いた。
今の私がいる場所は私の大好きなゲームの『スクールライフ』の世界だった。
今暮らしているここは日本ではなく大帝国リリー・オブ・ザ・ヴァリー。
昔から婚姻を持って領地を広げて来たと言われているが、今は落ち着いて領地を広げるのではなく内政を整える時代が数百年続いていると家庭教師が言っていた。
あらゆる部門の芸術家を生み出した事で有名だが、資源にも恵まれて近年の発展は目まぐるしく、綺麗な湖や伝統的な建物は他国からも人気だ。
現王はウィリアム王。美しく聡明で愛妻家な所が国民に愛される所以であった。
そしてその子供はルドルフ王子、ただ1人。
金髪碧眼、ウィリアム王の幼少期そっくりな王子はそこらの女性より美しくそこらの女の子よりも愛らしいと家庭教師がほほを赤らめて言っていた。
王に似ているのは外見だけでなく、賢く聡明で既に王族として学ぶべきことは習得したとお兄様が言っていた。
私が家庭教師から学んだリリー史は、ゲームの世界観の説明と一緒だった。
夢かと思って頬をつねってみても痛いだけ。
これは現実だ。
だって私はアリアの9年をちゃんと生きている。
「大丈夫?」
ギュッと強く抱きしめられて、初めて自分がルドルフ王子に抱きしめられている事に気付いた。
覗き込んでくる顔がまたも愛らしい。
好き!好きすぎる!
死んじゃうからあまり近づかないでっっ。
金髪碧眼とか私の理想すぎるから!
花もアリアも金髪碧眼好きだから!
花は外の世界も大切にしていたけど、今のアリアは家が大好きだ。
花時代に頑張り過ぎた影響かもしれない。
そんな今と昔をゆっくりと脳内で結びつけた私に向かってルドルフ王子の可愛いお口からとんでもない爆弾が飛び出してきた。
「アリアは僕の事大好きなんでしょ?」