乙女と王子。
ルドルフに促されソファーに向かい合って座る。
ルドルフは『乙女』と『王子』について話し始めた。
「大体、出会ったその日に婚姻を結ぶらしいんだ。乙女を見つけたばかりは興奮状態らしいから公務に支障が出ちゃうんだ。だから共に過ごして満足してから公務に戻るんだって」
「そうなんですか」
・・・満足ってなんだろう。
私が首を傾げていると、ルドルフが笑った。
「僕たちは婚姻によって勢力をのばしたと言われているけど、本当は違うんだ」
「えっ?」
「ただ、大切な乙女を手に入れたかっただけ。その為に戦争も厭わなかった。ただ戦争に発展しそうになったとしても乙女が愛してくれるから最終的には円満らしいけれど」
それはどれだけ壮大なラブストーリーが作れるのだろうか。
私が妄想を膨らましていると、向かい側でルドルフは頬を膨らませていた。
「アリア聞いてる?」
「聞いてます。乙女の皆さんのラブストーリーに想いを馳せていたのです」
その言葉にルドルフの頬が染まった。
なんで赤くなったんだ?
「アリアのストーリーも僕が素敵に出来たら良いなぁ・・・」
なんですって?
そんな事で頬を染めたの?!
可愛い過ぎます。
私の旦那様が可愛いすぎですっ。
「こんなに早い年齢で婚姻を結んだのは僕たちが初めてらしいよ。・・・でもあの時声を掛けていたらもっと早く一緒にいられたかもしれないのに」
私は立ち上がってルドルフの横に座ると、ルドルフが微笑みながら抱き締めてくれた。
「アリアと一緒に居ると、今までなんで離れ離れで暮らしていられたのかすごく不思議に感じるよ」
「私もです。でもきっと過去を思い出した今だからこそ意味があるのかもしれません」
ルドルフが息をはく。
「アリアには敵わないや」
そりゃあ、16歳年上だからね。
「そうだ。アリアのげぇむの話を聞かせてよ。僕と婚姻を結んだから大丈夫だと思うけど念には念をね」
確かに。
私は紙とペンを借りて相関図のようなものを描き始めた。




