兄は妹の出戻りを期待する。
「アリア、出戻りの受け入れはいつでも出来ているからね?」
不穏な言葉を残して号泣し続けているお父様を引きずるように連れてお兄様が帰っていく。
「ルイにしてはあっさり引き下がったね」
私の腰に手を回してこめかみに口付けながらルドルフが言った。
確かに・・・昨日、お兄様が私の部屋に来て今日のお茶会の話をしてくれた時は私を抱きしめて離さないくらいだったのに。
お兄様はなんだかんだ言って私に甘いから、私のルドルフへの気持ちを知って祝福してくれているのかもしれない。
「もしかしたら私達のこと理解してくれたかもしれませんね」
「・・・そうだと良いね」
ルドルフがチュッと音を立てて唇を離すと私の顔を覗き込んだ。
至近距離のルドルフは失明しそうなくらい眩しい。
いつか慣れる日が来るのだろうか。
「そろそろ戻ろうか、アリア」
ルドルフが私の手を取って王の前に向かおうとするので慌てて私はルドルフの手を引っ張った。
「・・・あの、私も一度戻って準備をしたいのですが」
立ち止まった私を振り返りルドルフが口を開こうとした時だった。
王が私の前に立ち私と視線を合わせるようにして屈んでくれた。
「アリアには申し訳ないが、神様に誓いを行ってから30日間は夫婦は片時も離れてはいけない。そして毎朝2人で30日欠かさず祈りを捧げなければいけない。先程アリアの荷物を持ってくるようにバーキン家に使いを送ったからそれで我慢して欲しい」
流石プリンセスシリーズ。
甘々設定だ。
とはいってもスクールライフでそんな設定聞いたことなかったけれど。
「はい、わかりました」
微笑んで頷くと王が私の頬を撫でたので私はピクリと反応してしまった。
あれ?もしかしてスキンシップ力が高いのはルドルフや王妃だけじゃかった?
王の先に映るルドルフの笑顔が心なしか引きつっている様に見える。
「アリア、私の事はバーキン侯爵の様に『おとうさま』と呼んでくれないか?私も其方の父なのだから」
「はい!!お義父様!!」
反射的に応えてしまっていた。
ルドルフ王子顔で言われてしまえば躊躇わずに応えてしまうのは仕方ないと思う。
嬉しそうに微笑んでお義父様が私の頬を両手で覆うと額に口付けて「あとはよろしく頼むよ、ルドルフ」と言って出て行ってしまった。
ぼーっとして扉を見ていた私はその時のルドルフの様子を知る事は出来なかった。
その事を私は後で後悔する。




