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悪役令嬢の知らなかったイベント?!。




「何から話そう」



王子の部屋に着いてソファーに座ると、その隣に腰掛けた王子が首を傾げた。


いちいちあざとい王子に私の心臓が元気過ぎる。

違う意味で死ぬかもしれない。



「何から聞きたい?」



ここでまさかの質問?

悩むけれどやっぱりここは聞いておかなくては。

避けては通れない。


可愛い王子に色々現実逃避してきてしまっていたけれど、このままではいけない。

ちゃんと向き合わなくては。


私は膝の上に置いた手をぎゅっと握りしめて王子を見た。

王子が朗らかに微笑む。



「王子は私をどう思っていますか?」



言ってしまった。

でも言わなければ始まらないもん。

良く言った。と自分を褒めていると王子はハッとした顔をした。



「私を妻として大切にしてくださる事はすごく伝わってきています!!でも、今日お会いしただけで・・・私の最悪な未来を回避する為に婚姻を結ぶなんて・・・」



王子が私の手に自分の手を重ねた。

それだけで私の身体から力が抜けた気がした。



「そうだよね。僕の事、何にも話せていなかった。ごめんね、不安だったよね」

「いえっ!そんな」



王子は私の手を撫でてからそっと手を離した。


私が力を込めて握りしめていた為、真っ赤になってしまった手から力が抜けた事に気づいたからかもしれない。



「僕は前にアリアを見たことがあるんだ」



えっ・・そんなイベントがあったの?



「両親に連れられてバーキン家に行った時に・・・3歳くらいだったと思う。その時から僕の世界はアリアが中心だよ」



いきなりの展開についていけない。



「その日、僕たちが行った時にはアリアは乳母に連れられて屋敷に居なかった。だから僕の両親はアリアには会っていない。今思えば、アリアと僕を会わせないようにしていたのかもしれないね。本当にバーキン家はアリアを隠したがるから」



確かに王家と懇意にしてるとは聞いたけど、屋敷に呼ぶほどとは知らなかった。

いつもはお父様やお兄様が、宮殿に行っていたから。



「両親が目を離した隙に僕はバーキン家の庭園に足を向けた。そしたら居たんだ。アリアが」


王子は両手をソファーに置いて私との距離を詰めた。

宝物を見つけたようにキラキラとした瞳で私を見つめる。



「アリアは何故か綺麗に咲き誇る薔薇より、シロツメクサに興味を持ったみたいで花冠を作って笑っていた」


確かに良く花冠を作っていたような気がする。

当時から私は王子や姫に憧れていた。

アリアになっても好みは変わらない。



「一目見てわかったよ、アリアが僕の乙女だって」



王子が私の左手をとり両手で包み込んだ。

さっきの労わるような温もりとは違って、私を求めるような温もり。


何をしても私を刺激する行動は、まるで私がヒロインになったような気にさせた。




「その日はそのまま声をかけずに離れたんだ。いつでも会えると思ったから。でも後で後悔した。アリアに会う機会なんて全然巡って来なかったから」



確かにお兄様が親しくしていたのに一度も会ったことがない。


私は引きこもりだし、このゲームがない世界で小説だけが癒しだった。



いつも小説の中の王子様に恋をしていた。



お父様やお兄様を見て現実には私が求めるような人なんていないと思っていたから。




でもルドルフ王子に会ってしまった。



いままで読んできた小説の中の王子様と比べてもルドルフ王子以上の人はいなかった。







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