嬉しいサプライズでした。
実家こと、バーキン家に着くとお母様とお父様、お兄様が出迎えてくれた。
ルドルフはそのまま不満げな顔をしたお兄様に連れていかれたので不思議そうにその様子を見つめているといきなりお母様が私を抱きしめた。
「アリア、お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
私は懐かしい香りに包まれて何故か涙が出そうになってぎゅっと抱きしめ返した。
いつも忙しくしていたお母様だけれど私の誕生日の時は必ず1日中傍にいてくれた。
それはお父様もお兄様も一緒だった。
「今日は私が考えて準備したのよ。ルイ達には反対されたけれどね」
お母様が侍女に声をかけて持ってきたレースを私の頭の上にのせた。
「二人の婚姻式を見られなかったから、私にも見せて欲しいの」
そういって私の背中を押すとお父様が私をエスコートするようにひじを曲げた。
「えっ?」
私は視線を下ろして自分の服を見る。
ふわふわした丈の長い白いドレスはまるでウエディングドレスだった。
そして今日着ていたルドルフの服は白いタキシード。
「・・・うそ」
両手で口元を覆って呟いた私の言葉にお母様が微笑む。
「本当よ、さてと!私も準備しなくてはね」
私の背中を軽く叩いてから小走りで中へ入っていく。
「こんなことをすると余計にアリアを手放したことが現実になるから嫌だったんだけれどね」
お父様が少し涙ぐみながら微笑む。
ルドルフと会ってから色んなことがあった。
色んなことがありすぎて感覚が麻痺していたのかもしれない。
お父様の姿をみて、ああ、本当に私はルドルフの妻になったんだなぁって改めて実感した。
・・・今更だけれど。
パイプオルガンが音を奏で始める。
そっとお父様の腕に手を添えて私は歩き出した。
扉を開けた先に愛しい人が見える。
そしてたくさんの拍手を受けながら進んだ。
ゆっくりと周囲を見ながら進むとフェリ家の人たち、アダム、ゲイリー、そしてまさかの国王夫妻まで参列していた。
「お父様、ありがとうございます」
小声で言うとお父様がくしゃりと顔をゆがませて微笑んだ。
「殿下、私の可愛い娘を頼みましたよ」
お父様が私の手をとり、ルドルフに私の手を差し出す。
ルドルフが「はい」と答えて私の手を取り、私を見つめた。
「嬉しいサプライズだね、アリア」
「はい!」
神父様の前で私たちは永遠の愛を誓った。
誓いが終わって振り返ると号泣するお父様とお兄様、涙ぐみながらも微笑んでいるお母様とフェリシティちゃん。
アンドリューやジュディもハンカチで目頭を押さえている。
お義父様とお義母様は寄り添い合いながら手を振ってくれた。
その様子を見て私はルドルフを見上げると嬉しそうに頷いて私の手を握り締めた。
「今日の事、きっと何度も思い出すと思う」
「私もです」
私たちはみんなに見送られながら部屋をあとにした。




