お見通し・・・
きな臭い依頼・・・
どんな事が待つのか・・・
海斗は依頼人の元に向かった。
海斗は濱本組傘下清水組の本家にやって来た。
「何だ、貴様!」
入り口に立っている2人の男の内の1人が声を掛けて来たが、次の瞬間には2人の男は倒れていた。
海斗はどんどん中に入って行く。
中にいる男達は海斗が歩を進める度に意識を失っていく。
海斗は組長の寝室に入って行く。
「何の用だ、清水組と知っての事か?」
「無論承知・・・用事があるのはそこの女だ・・・」
清水組長の横にいる女は顔を下に向ける。
「顔を隠しても無駄だ・・・そもそも俺達を騙そうとした事が無意味だ・・・」
「この清水の寝室に入って来て、何がしたい?」
「お前に用は無い・・・」
「何だと!」
「清水・・・もう少し人を見る目を養う事だ・・・」
「貴様ぁ!」
「濱本も苦労をする・・・頼みのお前がこれではな・・・」
「!?」
「さて本題に入ろう・・・紀州組・・・俺達に喧嘩を売る馬鹿では無いと思っていたが・・・」
「どういう事だ?」
「清水、お前は利用されたんだ・・・この女は紀州組の手の者だ・・・」
「何の根拠があって・・・」
「根拠ねぇ・・・大きな物音がせず、俺がこうしてここにいる事で気が付かないとはね・・・紀州組と一緒に濱本組にも無くなって貰うか・・・」
「貴様、一体誰なんだ?」
「濱本に聞くといい・・・寝ていろ・・・」
清水組長は気を失った。
「さて・・・忍の者達が紀州組と組んで俺達を消す・・・楽しい策略だが、誰の差し金だ・・・」
「・・・それは・・・」
「・・・言いづらいかもしれんが、俺達がいる・・・お前の身の保証くらいはしてやる・・・お前を見張っている者達なら寝ている・・・まあ、明日には全員この世に居ないがな・・・」
「・・・助けて下さい・・・妹が捉えられていて・・・大友組に・・・」
「・・・やっと言ったな・・・さて、大友組に行って来るか・・・忍びの4猟団の内、風が動いたか・・・あの2人、相当怒ってたからな・・・関西は大変だな・・・」
「・・・あの・・・」
「安心してマンションで待っていろ・・・粛清が終わったら、再び会うと言った筈だ・・・」
「でも、関西にはどうやって・・・」
「魔界を抜ければすぐだ・・・俺達には地球の上ならば、何処もさして遠くない・・・闇は繋がっている・・・」
海斗の姿が消える。
空斗と陸斗は関西最大暴力団組織、紀州組の本家の前に来ていた。
「陸の・・・忍びの猟団が関係しているな・・・」
「4猟団全て消し去るか・・・俺の逆鱗に触れるのが上手い奴等だ・・・」
「・・・俺達だ・・・」
2人は建物に向かって歩いて行く。
「何だ貴様等は?」
入り口にいる2人は声を掛けるが、片方は消え、片方は溶けて消えた。
そのまま2人は紀州組本家に入って行く。
何人ものヤクザ・忍者が押し寄せる。
「空の・・・俺がやろう・・・先に行け!」
「そうするか・・・」
空斗は先に進む。
陸斗は左手の人差し指と中指を立て、鼻先に付ける。
透明な箱の様な物が現れ、陸斗と敵対する者達はその中に入る形で、四方八方を囲まれ出る事が出来ない。
「九条の苦しみ・・・少しは味わえ・・・」
陸斗の言葉と共に黒い炎が立ち込める。
「その空間ならすぐには死なん・・・後悔と懺悔の念を抱いて苦しんで死ね・・・」
陸斗は歩を進めた。
空斗の前には、黒装束の4人の男が立つ。
「我等風の猟団の四天王・・・」
「不要だ・・・俺達には誰が来ても同じだ・・・ただ死が待つのみ・・・」
空斗は話終わると右手の人差し指から小指までを立て、鼻先に当てる。
空間が裂け、中から恐ろしい姿の者が現れる。
「空の首領、何用だ・・・」
「この4人を消せ・・・生まれて来た事を後悔させてからな・・・」
「ほう・・・珍しく怒りが漏れている・・・何かあったのか?」
「何だ?お前もコイツ等と共に消えたいのか?」
「・・・お前と戦うつもりは無い・・・お前の依頼は引き受けよう・・・悪魔ディアボロスの名においてな・・・」
ディアボロスが手をかざすと4人は床に沈んで行く。
4人は何とかしようと忍力を使うが、ディアボロスは笑っている。
「諦めろ・・・空の首領を敵に回し、この俺が呼ばれたんだ・・・地獄の3支配者の1人と言われた、このディアボロスがな・・・」
ディアボロスは4人と共に消えていった。
陸斗が空斗の所に追い付く。
「さて、殺すか・・・」
「そうだな・・・風の西城・・・まずはあいつだな・・・」
「4猟団を消す・・・構わないな?」
「ああ、流石に頭にきている・・・この依頼が終わったら全員消す・・・」
「ふん・・・1人1猟団か・・・準備運動くらいになるといいんだがな・・・」
2人は組長室に入って行く。
組長室には黒装束の男と紀州組4代目、黒岩勝治かいる。
「流石に闇の首領だ・・・恐れ入ったよ!」
「・・・気にする事は無い・・・死に方が少し酷くなるだけだ・・・」
「この風の西城がそんな事はさせない!」
「・・・井の中の蛙大海を知らず・・・お前の為にある言葉だな、西城・・・」
「この俺にでかい口を叩くと後悔する事になる!」
「ならば試してみるか?・・・俺と戦い、少しでも傷を負わせれば見逃してやる・・・」
「お前等を消す為にいる・・・舐めるなよ!」
陸斗と西城は外に出て行く。
「黒岩、少し見ているか・・・口車に乗って、牙を剥く相手を間違えた事が分かるだろう・・・西城の後はお前だ・・・」
西城は両手で印を組む。
目の前に炎が立ち込める。
「火遁の術!」
激しい炎が陸斗を襲うが陸斗は笑っている。
「ならば、空手裏剣!」
西城は両手を素早い動きで何度も動かす。
真空波がいくつも出来、陸斗を襲うが陸斗は全く意に返さない。
陸斗に当たる前に真空波は弾かれ消えてしまう。
「く、くそ・・・」
「所詮そんな物だ・・・たかだか少し、影を除いただけで闇を知ったつもりでいた・・・馬鹿だお前は・・・」
「舐めるなよ・・・」
西城は印を組むが、陸斗は手をかざす。
西城の動きが止まる。
「そう慌てるな・・・俺達は頭にきてるんだ・・・その証拠に空の首領はディアボロスを呼んだ・・・地獄の3支配者の1人を呼んだ・・・分かるか・・・ただ殺す事をしなかった・・・お前にもゆっくりと後悔と恐怖、そして・・・九条への懺悔の時間を与えてやる・・・お前は知るのだ・・・己の愚かさを・・・」
陸斗はゆっくりと印を結ぶ。
空間が裂け、恐ろしい姿の者が現れる。
「ディアボロスの後は私か・・・お前達がこんなに怒るのは珍しいな・・・」
「余計な事を言うならお前等も消すぞ・・・」
「はっはっは、私にそんな口が訊けるのはお前等だけだ・・・もっとも、お前達とやり合うなら我々も消し飛ぶがな・・・共存こそが生きる道だ・・・」
「・・・分かっているならコイツに後悔と恐怖、そして懺悔を依頼したいのだが・・・お前に出来るか?」
「誰に物を言っている・・・地獄の王と言われるこのサタンに言っているのか?・・・笑止・・・この者程度わけはない・・・最高の恐怖を与えてやる・・・」
サタンは西城と共に地面の中に消えていった。
「黒岩、残念だったな・・・今日で紀州組は終わりだ・・・」
「ま、待て・・・俺は騙されたんだ!」
「俺達が邪魔な事には変わりはない・・・話は終わりだ・・・」
空斗は喋り終わると黒岩に手をかざす。
黒岩は動く事が出来ず、少しずつ体の一部が消えていく。
少しずつ消えて行く度に激痛が走るが、黒岩は動きを止められている為、言葉すら発せられない。
少しずつ消えていく黒岩を見ながら、空斗は溜息を吐いた。
陸斗が空斗の元に戻って来る。
「いつ殺す?」
「明日・・・海のとも話をしたい・・・」
「分かった・・・山・火・林の3猟団・・・長い歴史に終止符を打つか・・・」
「・・・俺達と対峙した・・・愚かな事だ・・・」
2人は闇の中に姿を消した。
まだまだ粛清は終わらない・・・
悪魔でさえ恐れる3人・・・
怒らせてはいけない・・・