意外な結末・・・
粛清の時・・・
海斗は副総監達が待つ部屋に入って行く。
「来たな、闇の首領!」
「待ってたぞ!」
「さすがにあいつ等では荷が重いか・・・」
「・・・試したつもりか・・・」
「はっはっは、試したわけじゃない。ただ、あいつ等にやられる様では、お話にならないからな!」
「・・・話しくらいは聞いてやる・・・」
「話しくらいか・・・後で自分から頭を下げると思うがな・・・」
「まあいい・・・どうだ、俺達と一緒に日本を支配しないか?」
「・・・意味が分からないが?」
「簡単な事だ。俺達とお前達が手を組めば、日本は俺達の物だ。どうだ、悪い話ではないだろう。金も思いのままだ。手付金として、この金をやろう!」
副総監は億を下らない金を海斗に差し出した。
「・・・興味がないな・・・」
「そう言うな、金さえあれば何でも自由だ。欲しい物は何でも手に入る。女も自由だぞ!」
「あんたは若いんだ、金も女も思いのまま・・・悪い話じゃないだろう?」
「我々と手を組もうじゃないか!」
「・・・やはり興味がない・・・残念だがな・・・さて、切り札を見せてもらおうか?・・・俺を前にして余裕で居られる切り札をな・・・」
「さすがは闇の首領、分かっているか・・・まあ、これを見てから考え直すもいいだろう!」
副総監が合図を出すと襖が開き、そこには20人くらいのヤクザ・特殊部隊がおり、その後ろに日本刀を持つ異彩を放つ狂った目の男がいる。
「分かるか、これだけいる!」
「ふん、人斬り九条か・・・面白い奴がいるな・・・」
「更に・・・」
副総監が手を叩く。
すると、ヤクザが1人の女性を羽交い締めにし前に出て来る。
「どうだ、手を出せまい。このまま意地を張って殺されるか、我々と手を組んで、面白おかしく生きていくか、答えは決まっているだろう?」
3人は笑っている。
空斗と陸斗が入ってくる。
「3首領が揃ったな!」
「どうた?手を組もうじゃないか!」
「楽しく生きようじゃないか!」
『・・・くっくっくっ・・・はっはっは・・・はーはっはっは!』
「何がおかしい?」
「これが笑わずにいられるか・・・」
「犬は餌で飼える・・・」
「人は金で飼える・・・」
「しかし、闇を飼い慣らす事は出来ない・・・」
「ならばここで死ね!」
「動くなよ!」
「動いたらこの女の命は無いぞ!」
3人はいやらしい笑いを浮かべる。
「何か勘違いをしている・・・」
「俺達は正義の味方では無い・・・」
「その女は殺せばいい・・・俺達の事を見たんだ、どの道死ぬ運命だ・・・」
「なんだと?」
「強がりを言うな!」
「本当に殺すぞ?何の罪もない女だぞ!」
「・・・人は多かれ少なかれ罪はある・・・」
「・・・少し人生が、他の者より先に終わるだけ・・・」
「・・・地球の歴史と比べれば、100歳の老人も生まれたての赤ちゃんも一瞬で変わりはない・・・」
「無駄話は終わりだ・・・」
「さて、片付けるとするか・・・」
「誰から殺せばいいんだ?」
「殺せ、こんな若造殺してしまえ!」
空斗は庭に移動する。
移動すると右手の人差し指を立て、鼻先に当てる。
人斬り九条と女性、副総監達を残し、他の者が庭まで飛ばされる。
次の瞬間、空斗は人差し指・中指・薬指を鼻先に当てる。
その瞬間、空斗の前に龍が現れる。
見えているのは3人の首領のみである。
空斗は龍の頭を突いた。
その瞬間、凄まじい突風が吹き、男達を切り刻む。
男達が細かくバラバラになると空間に穴が開き、突風は男達の肉片ごとその穴に消えていった。
「さて、九条の相手は俺がしよう・・・」
陸斗は前に出る。
九条が笑いながら突っ込んで来た。
「・・・お前は狂ってしまったが、それもあいつ等のせいだ・・・最後くらいは人間として死ぬがよい・・・」
陸斗は左の人差し指を立て、鼻先に当てた。
その瞬間、九条は動きが止まる。
九条の目の前に女性の姿が映し出される。
「お兄ちゃん・・・」
「穂乃果・・・」
「お兄ちゃんが私を愛してくれたから、私は幸せだったよ!」
「おお、おおおおお・・・おあああああああああ!」
女性の姿が消えた。
「強い思念だ・・・来世で幸せを・・・」
陸斗は左の人差し指を折る。
九条の心臓が粉々になり、九条はその場に倒れた。
海斗は3人の前に歩を進め、目の前でしゃがむ。
「さて・・・殺すか・・・」
「待て・・・金はやる、だから命だけは・・・」
「必要以上の金はいらない・・・九条の無念も合わせて返すとしよう・・・」
海斗は立ち上がり、右手の人差し指と中指を立て、鼻先に当てた。
副総監を含めた3人の周りに、透明な箱の様な物が出来、中の空気が黒く淀む。
空間が裂け、中からジョネスが出て来る。
ジョネスは副総監達を見て薄ら笑いを浮かべる。
「殺すのに何の躊躇もいらない奴等は久しぶりだ・・・」
「後悔と絶望・・・それが望みだ・・・」
「愚問だな・・・俺がいる時点で絶望だ・・・」
ジョネスは副総監達を抱えると、再び空間を裂き、その中へ入って行った。
海斗は女性の前に行く。
「ありがとうございます!」
女性が海斗に抱き付く。
「・・・分かっている・・・誤魔化す真似はよせ・・・」
「!?」
「俺達を騙せると思っているのか・・・」
「・・・だったら何だっていうの?私を殺せるの?」
女性は海斗から離れると、そう言い放った。
「・・・俺達は悪だ・・・殺す事は何とも思っていない・・・」
「わ、私はあいつ等に依頼されただけ・・・利用されただけ・・・」
「・・・法外の報酬を貰ってな・・・話はここまでだ・・・」
海斗は女性の前に手をかざす。
女性は一瞬で凍り付き、粉々に砕け散った。
空斗・陸斗が海斗の近くに集まる。
「・・・最後の仕上げだな、海の・・・」
「ああ・・・空の・・・頼みがある・・・」
「分かっている・・・任せておけ・・・」
「俺はどちらに付いて行けばいい?」
「お前は俺と、少し遠くに行くぞ・・・」
「分かった・・・ちょっと待ってくれ・・・」
陸斗は九条の近くに移動した。
すぐに右手人差し指を鼻先に当てた。
九条の死体が空中に浮かび、一瞬光って消えた。
「あいつの惨めな姿は晒す事は無い・・・」
空斗は陸斗の肩に手を置く。
「妹を盾に狂わされた人生・・・その妹も殺されていた・・・」
海斗は空斗と反対の陸斗の肩に手を置く。
「企てた者達、そそのかした者達・・・抹殺だ・・・」
3人は頷き、闇に姿を消していった。
まだ終わりではない・・・
これから何が待つ!