またも依頼・・・
新たな依頼が・・・
翌日、3人はいつも通りの朝を迎える。
海斗は朝食を摂り、大学に行く。
陸斗は海斗が出てから少しして起きてくる。
空斗は陸斗が食べている間に自分の開業している院に出勤する。
陸斗は食器を片付け、身支度を整えて学校に向かう。
海斗が電車で座っていると、隣に同じ大学の女性が座った。
彼女の名前は、蓮見。
依頼配達人の1人であり、冥の姉である。
依頼配達人は3人いる。
姉妹である。
長女、霊、次女、蓮見、三女、冥である。
蓮見と海斗は同い年で同じ大学である。
蓮見は海斗にメモを渡した。
「ねぇ海斗さん、これ受け取って!」
「何だよ朝っぱらから!」
「いいでしょ、内緒の話し・・・」
「しょうがねぇな・・・」
海斗は財布の中にメモをしまう。
大学に着くと海斗は屋上に行く。
依頼の確認である。
何気ないメモだが、海斗達にしか見えない様に細工してある。
警察内部、副総監の粛清の依頼である。
立場を利用し、暴力団と繋がり、麻薬の横流し、更には犯人をでっち上げ部下に罪を着せる等、かなりな事が書かれている。
海斗は溜息を付き、空気玉に思念を込め、発信する。
「海斗さん、確認終わった?」
「蓮見、何かようか?」
「特に何もないけど、私、海斗さん専属の請負人になりたいな・・・」
「こんな所で何言ってんだ?」
「えー、だって、私の気持ちは・・・」
海斗の声が低くなる。
「場所をわきまえろ・・・これ以上話しをするなら消す・・・」
「!?・・・申し訳ございません・・・調子に乗り過ぎました・・・」
海斗の声が元に戻る。
「分かればいい・・・失礼するよ!」
「ああ、はい・・・」
海斗は講義の為に、教室に行った。
海斗は午後は講義が無い為、家に帰り1人、地下の鍛錬場にて体を動かしている。
空斗と陸斗が帰って来る。
海斗はゆっくりと気持ちを作っていく。
夜10時、3人は地下の暗闇に集まる。
そこに蓮見も入って来た。
「・・・今回の粛清・・・評決を取る・・・粛清ならば沈黙を・・・」
「ちょっと待ってくれ・・・」
「何だ、陸の首領・・・」
「依頼人の確認を取りたい・・・あまりにも裏が取れ過ぎている・・・」
「蓮見、どうなんだ?」
「はい、私も少し気掛かりです・・・海斗様、確認願えませぬでしょうか?」
「なるほど・・・そこで俺への依頼か・・・承知した、確認するとしよう・・・」
「ならば、確認後評決とするか?」
「いや、粛清はするでいいのではないか・・・依頼人の真意を確かめ、依頼人や関係者をどうするかではないか・・・」
「なるほど、海の首領の言う通りかもしれんな・・・では、今回の粛清・・・粛清なら沈黙を・・・」
空斗の言葉の後、暫くの沈黙が訪れる。
「決まったようだ・・・海の首領、頼むぞ・・・」
「承知、早速依頼人に会うとしよう・・・」
海斗の姿が闇に消える。
依頼人の女性がマンションの自分の部屋にいる。
なかなか高そうなマンションである。
女性が眠っていたが、目を覚まし体を起こす。
「声を出したら殺す、動いても殺す、俺の質問に偽りがあっても殺す・・・分かったら目を閉じ頷け・・・」
女性は目を閉じ頷いた。
「何故依頼した・・・」
「知り合いが罪を着せられ、自殺しました」
「なるほど・・・して、報酬は?」
「はい、その保険金1000万円と・・・私自身でどうでしょうか?」
「なるほど・・・依頼は引き受けた・・・粛清の後でまた会うとしよう・・・」
声と気配が消えた。
女性は大きく息を吐いた。
海斗が歩いて行く。
途中で空斗と陸斗と合流する。
「どうだ・・・」
「忙しくなりそうだ・・・」
「なるほどな・・・」
3人はそれだけ会話を交わすと、歩を進めた。
かなり大きな家である。
繋がりのあるヤクザの手下や甘い汁を啜っている特集部隊の連中等が警護している。
中では副総監と大友組組長、特殊部隊上官が金を囲んで話しをしている。
「やはりか・・・」
「そのようだ・・・」
「海の・・・大変だな・・・」
3人は正面玄関から入って行く。
「やっぱり来たな!」
「準備万端だぜ!」
「これで裏も牛耳れるわけだ!」
男達が口々に言葉を発し、3人に近付いて来る。
「近代兵器か・・・」
「哀れだな・・・」
「俺が引き受けよう・・・」
陸斗は残り、2人は歩みを進める。
「その特殊な防護服・・・」
「さすがに分かるか・・・お前も終わりだ!」
「覚悟しな!」
「中に入った2人も、すぐに同じ目に合う!」
「・・・惨め過ぎる・・・後悔の念を抱いて死ね・・・」
陸斗は手をかざした。
かざされた男は着衣を残し消えた。
「何だ?」
「何したんだ!」
「どんな物を着込んでも変わらんよ・・・俺達の前ではな・・・」
陸斗は右手の人差し指と中指を立て、鼻先に当てた。
その瞬間、透明な箱の様な物が現れ、男達を閉じ込める。その箱から陸斗は通り抜けると、陸斗の目が怪しく光る。
その瞬間、箱の中は黒い炎で充満する。
男達の叫び声が聞こえる。
「地獄の火炎・・・人間の兵器ごときで何とかなる代物ではない・・・1つだけ言っておく・・・好き好んで裏に君臨しているわけではない・・・」
陸斗は先に進んだ。
空斗と海斗の前に、明らかに常軌を逸した男達が出て来た。
「こいつらを殺せば、俺達は無罪だ!」
「簡単な事だ!」
「へへへ、また人が殺せる!」
明らかに猟奇殺人者であり、それなりの猛者である。
「ここは俺だな・・・先に行け!」
「悪いな・・・」
海斗は歩みを進める。
「猟奇殺人者か・・・自分が殺される事も覚悟しないとな・・・」
「何言ってやがる!」
「お前はこれから、一方的に惨殺されるんだ!」
「こんな若造では歯応えがないな・・・と言う・・・」
「・・・こんな若造では歯応えが・・・何!」
「お前達は生きている資格はない・・・」
空斗は右手の人差し指と中指、薬指を立て鼻先に当てる。
床から黒い炎が立ち上り、この世の者ではない者が姿を現した。
「誰だ貴様は?」
「我が名はベリアル・・・空の首領、この者達・・・」
「後悔と懺悔・・・苦しみと恐怖・・・そんな所だ・・・」
「はっはっは・・・空の首領、しかと引き受けた・・・悪魔ベリアルの名に懸けて・・・」
ベリアルが床に手を当てると男達が沈んでいく。
「何だ!」
「何が起きている!」
「辞めろ!」
「・・・絶対的な恐怖と絶望を刻みながら死んで行くんだ・・・もう少し楽しそうな顔をしろ・・・はーはっはっは・・・」
ベリアルと男達は消えて行った。
「やはり、面倒な依頼になったか・・・」
空斗は先に進む。
いつもの依頼と様子が違う・・・
3人は気付いている様子・・・
何が待つ!