魔界は大変な事に・・・
魔界に行く陸斗・・・
陸斗が魔界に姿を現した。魔界の空気がいつもと違っている事に陸斗は気付く。
陸斗は空斗・海斗の気配を探り、すぐにそちらに移動した。物凄いスピードである。
少し時間を前に戻す。
陸斗が粛清に向かった時、空斗と海斗は魔界に姿を現した。魔界でサタン達と光について話しをする為である。
しかし、状況はそんなに悠長な事ではなかった。
魔界に光の戦士達が攻め込んでいた。その数は軽く5000を超えている。
対して魔界の軍勢は、地獄の3支配者であるサタン・ディアボロス・ベルゼビュートを筆頭とはいえ、せいぜい500、多勢に無勢である。
空斗・海斗はすぐに魔界の軍勢に加勢した。
空斗と海斗は足に忍力を集中させ、空中を自由に動き回る。かなり前に陸斗が忍力を溜めた空気玉を空中に配置する事で空を走った事があったが、こちらの方が自由に動ける。
しかし、この技は忍力の消費が大きく、普段なら使用しない。今回はこの戦いで余儀なく必要とされていた為に使用している。
空斗・海斗の力は強大であり、光の戦士を倒すのに秒と掛からない。しかし、光の戦士は次から次へと湧いて出て来る。
確かに光の戦士は闇の首領2人には遠く及ばないが、それでもかなりの攻撃力があり、魔界軍は劣勢である。更には、サタン・ディアボロス・ベルゼビュートも光の戦士を倒してはいるが、その数の多さに疲れが見えてきている。
そして、疲れという意味では首領も同じである。
圧倒的とはいえ、数が違う為に首領の膨大な忍力も体力も削られ始めていた。それでも光の戦士達は最初と変わらない数が居る様である。どうやら、見えていた以上に光の戦士達の数は圧倒的だった様だ。
「海斗、陸斗が来るまでの我慢だ・・・」
「ああ、あいつが来れば状況は変わる・・・」
「それは聞き捨てなりませんね!」
「たかだか1人増えた所で・・・」
「この我々の軍勢に勝てると思っているのですか?」
3人が光に包まれ降りてくる。光の戦士達とは少し違い天使の容姿そのままであり、背中には翼が付いている。
「やっと来たな、天使長・・・」
「3天使長が来たという事は、やはりミカエルか・・・」
「あなた達には関係ありません!」
「消えて下さい!」
「跡形も無く!」
その瞬間、風の様なスピードで1人の男が現れた。
首領2人は突然現れた男に視線を向ける。
「「陸斗!」」
「大分大変そうだね・・・少し変わろうか?」
空斗・海斗は地面に降りる。
「ああ、頼むぞ・・・」
「魔界の奴等と休むとしよう・・・」
2人はそう言うとサタン達に合図を出し、後ろに下がった。
魔界軍はすでにかなりの人数が倒されており、残っているのは、7大悪魔と言われる7人の悪魔、人間から悪魔に転身したジョネスとバイゼル、そして3支配者の12人である。
「大丈夫なのか?」
「陸1人では無理なのでは?」
「まぁ、見ていろ・・・」
「大多数相手なら、陸斗に敵う者は居ない・・・」
全員が下がったのを確認すると、陸斗は前に歩き出す。
「さて、任されたからにはやるか・・・」
陸斗は足に忍力を集め、階段を登る様に空中を登っていく。
「身の程知らずですね!」
「長生きしないタイプですね!」
「どの道、長生きは出来ませんけどね!」
3人の天使長は右手を上げた。それと同時に5000の光の戦士が陸斗目掛けて襲いかかる。
陸斗はその軍勢を相手に1人で戦うが、動きそのものは空斗・海斗と変わらない筈なのに、明らかに1回の攻撃で倒されていく光の戦士が多い。陸斗は最小限の動きで最高の効率を瞬時に導き出し、攻撃も防御もそれに沿って動いている。この動きは、陸斗でないと出来ない動きである。
陸斗の戦いに苛立ちを覚えた3天使長は、光の戦士達の攻撃の合間を縫って3人の天力を込めた一撃を放つ。光の戦士達も数名巻き添えを喰らうが、天使長達は気にしない。更には、天使長達の位置と後ろで休んでいる魔界軍との間に陸斗が重なる位置でこの一撃を放つ事で陸斗が避けられない様にしていた。
「小者が考えそうな事だ・・・」
陸斗は右手人差し指を鼻先に当てる。陸斗の前にかなり大きな光る壁の様な物が現れる。
そこに天使長達の一撃がぶつかるが、激しい音と爆風こそ上がるが、天使長達の一撃は陸斗によって防がれた。
「小賢しい真似はもうさせない・・・」
陸斗は呟くと印を結んだ。
「「お前等伏せろ!」」
「爆」
空斗と海斗が叫ぶと同時に陸斗が呟き、陸斗の周りが広範囲で光り、物凄い爆発が起こる。
爆風が吹き、空斗と海斗の顔を覆う布が吹き飛ばされる。
少しすると光りが収まり、陸斗の姿が映し出される。
「分かるか3支配者よ、あれは陸斗しか出来ない・・・」
「陸斗に掛かれば、5000の軍勢も一瞬だ・・・」
「恐ろしい・・・あんな一撃を持っていたのか」
「全く、本当に驚かされる」
「共存を選んで良かった」
陸斗の周りの爆発で巻き上がった物も落ち着いてくると、3天使長の姿も見えてきた。
「さて、邪魔者は片付いたな・・・」
「流石は首領、なかなか強力でした!」
「まさか、天力をここまで使うとは!」
「大したものとだけ言っておきましょう!」
天使長達は笑顔を見せている。
「さて、俺達も参加するか・・・」
「ああ、借りは返さないとな・・・」
「おやおや、3首領と対決ですか?」
「丁度いいですね、決着を付けましょうか?」
「あなた達の最後です!」
天使長達は左手を上げる。魔界の空より光の戦士が5000人程降りてくる。
「さぁ、首領の最後です!」
「先程の技、使えないでしょう?」
「待ってましたよ、この時を!」
3天使長の笑顔が勝ちを確信した様な表情になる。
「・・・まだこれだけいるのか」
「流石に首領だけでは手に余る・・・」
「どうせ消されるんだ、殺るかね・・・」
地獄の3支配者は臨戦態勢を取った。
しかし、魔界軍は分かっていた。このどうしようもない絶望という事実を・・・。
ピンチ・・・
どうなる?