表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/47

第13章

 今日は登校中だけで二回も殴り合いになった。朝からよく絡んでくるもんだ。とりあえず全員、謝るまで殴った。目覚めの悪い日だ。


 教室の前、廊下に和木坂が立っていた。相変わらず妙な姿勢で。猫背だし、首が多少曲がっている。ただ、いつも席に張り付いてる印象しかなかったから気になった。


「おい和木坂」

「あ、あ、あ、お、おはよごじゅる」

「どうかしたのか」

「あ、あ、あの……」


 俯いたかと思うと、和木坂は握りしめていたちらし紙を俺に差し出した。


「くれるのか」

「あ、あ、すいません」


 走って逃げて行った。途中で盛大に転けていた。大丈夫なのか。骨折してても驚かない。


 何やらわからんが俺は教室に入り、着席してくしゃくしゃのちらしを広げた。裏に鉛筆で何か書いてある。


 周囲の「あいつ、滝本君にラブレターなんか……」「殺されるぞ」「ドラム缶に詰められるな」などという声が鬱陶しい。聞こえないように喋れ。


「昨日も一昨日も、お弁当ほんとにありがとう。せっかく滝本くんが優しくしてくれて、部活にまで誘ってくれたのに……ごめんなさい。


私は人前に出るのがすごく怖くて、考えただけでも体調が悪くなるんです。だから、誰もいないあの場所でいつも歌っていました。滝本くんが才能あるって言ってくれて、私ほんとにうれしかったです。


他人に優しくしてもらったのも高校に入って初めてでした。私は駄目人間でクズです。期待させてしまってごめんなさい。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ