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もうひとつの、もう一度【ラスボス】の前に立つために

 前話の、別パターンの内容です。


殆ど、話の構成は変わりませんので、ご了承ください。

 異世界転生をしたあげく、その時の【力】でラスボス(と思われる)にたどり着いた。しかし―、

 

『お前の【力】は、知っている』


 奴は、俺の【力】に気づいてしまった。


 その【力】と言うのは、ゲームで言う所の【セーブデータ】のような物だった。


 詳しく説明すると、自分の任意で【自分の居た時間と場所】をセーブできる。

 

 そして、【自分の好きな時】、【死んだ時】に、ロードできるという【チート能力】だった。


『このまま消してしまっても、お前が戻った時に対策されてしまうだろう』


 その通りだった。俺は、この【力】で強敵を翻し、不運を回避してきた。


 ――それでも、回避できない出来事はあったけど……。


 奴は、俺の体を消していく――。


『だから、お前に二つの封印をする。一つは、その【力】。そして、もう一つは――』


 その言葉を聞き取る前に、俺は消滅した。 



 ――真っ暗な世界。いや、世界ほど広いか狭いかは分からないけど。


「……また、ここに戻ってきたのか」


 死亡した時は、【力】によって、この真っ暗な世界に飛ばされる。


「あぁ、でも意識があるってことは……?」


 封印は出来なかったのだろうと、【力】を使ってみる。


 すると、ゲームなんかでよく見る、【メニュー画面】が、目の前に現れた。


「何だ。使えるじゃないか」


 俺は、安堵の溜め息を吐くと、直ぐに【ロード】を選ぶ。複数個の【セーブデータ】がある筈だった。


「あっあれ?」


 しかし、そこにあった【セーブデータ】は、たった一つしかない。しかもよりによって、ラスボス手前のデータ。


「――封印って、こういうことかよ。これじゃ対策が難し……」


 だが、いくら選択しても【ロード】が始まらない。要するに、セーブした場所に移動しなかった。


「――もしかして……?」


 ラスボスの封印とは、【セーブデータ】を一つだけ残して消し、しかも選択出来ない様にすることだったのだ。


 ――かろうじて、ステータスは見ることが出来た。



レベル  八十


能力は、全て五百ぐらい




 まぁ、これの上限が何処までなのかは、分からないけど。そして、装備が……。


武器 【しんめいのつるぎ】


防具 【きよめのよろい】 【そよかぜのころも】


 ……見ていても、蛇の生殺しみたいに思えたので、【もどる】を選択して、そっと閉じた。


「うーん、どうしよう……?」


 真っ暗な世界で、あぐらをかきながら、漂っていた。本当に死ぬって言うのは、こう言う事なのかと、考えていると――。


「……あれ?こんなのあったっけ……?」


 閉じた筈の【メニュー画面】が、まだ開いている。


 そして、そこには【はじめから】【つづきから】【きろくをけす】と、書いてあった。


 そういえば、【もどる】を選択したのは、これが初めてだった様な気がした。


 そもそも、【とじる】だったはず……。


「……このまま、居ても仕方ないし――」


 俺は、【はじめから】を選択した。【きろくをけす】は怖かったので、選べなかった。


「――名前と、性別を選択してください……?」


 名前は、【はじめから】らしいなと、思った。けど、性別については――。


「……」


 俺は、あぐらをかいている足の間を見る。真っ暗で何も見えなかった、いや、何を確かめようとしたかは言わないけど。


「どうせ、【はじめから】になるんだし――と、名前は……」


 俺は、淡々と選択して――、最後の【これでよろしいですか?】の質問に、


 ――【はい】を選択した。




 ――真っ暗だった世界が、真っ白に輝きだして……。


 気がつくと、俺は草むらの上で、仰向けに横になっていた。


 体を起こして、辺りを見渡す。そこそこ樹木の生えた、草原の一角。


「……やっぱり、スタート地点は変わらないのか。」


 現実世界で死んだ後(どうやって死んだかはわからない)、最初に来たのは、ここだった。


 少し、違うのは――。


「……おっとと」


 立ち上がった俺は、小石を踏んで、危うく転びかけた。


 なぜなら、新しくした靴の感覚が、つかめないからだった。

 

「慣れない靴は、歩きづらいな……」


 ふと、足元を見ると小さなカゴがあった。中には、リンゴと草花が、幾つか入っていた。


「これ、以前は有ったかな……?」


 【はじめから】の影響なのか、記憶がいまいち、ピンとこない。だいぶ昔の事になるので、仕方ないのかも知れないけれど。


「おーい!」


 俺の耳に、誰かを呼ぶ声が聞こえた。声の質から、女性の様だった。


 声のする方に、目線を向けると、俺と同じ様な質素な素材の、ロングスカートのドレスに、カゴを持った女の子が、かけてくる。


 近くまで来ると、その子は自分より、身長が低く、黒色のボブショートの女の子だった。


「【ロック】、ここに居たんだ?」


 【ロック】と言うのは、俺が【はじめから】を選んだときに、つけた名前だった。


 ……あれ?何で、この子は俺の名前を知っているんだ?


 ――前の【セーブデータ】の時は、知り合いなんだから、知っていて当然か。


「また、昼寝してたの?頭と背中に、草がたくさん付いてるよ」


 言われて、自分の髪を触ってみる。少し伸び気味の金の髪が、指に触れる。


 その髪から草や葉を、その子は取ってくれる。


「もー、男だからって身だしなみは、キチンとしないと……」


「【イニス】、そこまで気にしなくても……?」


 俺は、彼女の事を【イニス】と呼ぶ。――何で、俺はイニスの事を知っているんだ?


 イニスが、いきなり話しかけてきたのは驚いたが……。――まぁ、幼なじみだから当たり前か。


「それだからって、靴の底がなくなるまで履いて!」


 彼女は、俺の言葉に少しだけ叱る。そんなイニスを諌めようと、カゴのリンゴを手にとって、


「そんなに怒んないで?リンゴ、食べる?」


 そうだ、俺はイニスと共に、薬草を採りに村の近くの林に来た。それから、リンゴの木を見つけた。


 幾つか採った後で、そこで横になっていたんだった。


「……まぁ、いいか。早く戻ろう?」


 イニスは、差し出されたリンゴを手に取ると、来た方向に踵を返して歩いていく。


 俺も、カゴを肩に背負う。――そうだ。ふと、思い出したように【メニュー画面】を開く。


 その、メニューの【セーブ】を選ぶ。【セーブ完了】と表示された。


 ――良かった。どうやら、【セーブ】は出来たみたいだった。あとは、【ロード】が出来るかだけど――、


「きゃあああ!?」


 その時、イニスの叫び声が聞こえた。


「イニス!?」


 ――そうだった、この時に事件が起きるんだった。なぜ、思い出せなかった……?


 とにかく俺は急ぎ、イニスの元へと走る。そして――、


 目の前には、倒れたイニス。すぐ近くに、壊れたカゴから薬草がばら蒔かれていた。


 そして、狸ほどの大きさのモグラ――【鬼モグラ】が、彼女に襲いかかろうとしていた。


「やめろおぉ!!」


 俺は、鬼モグラ目掛けて、カゴを振り回した。


 鬼モグラの爪に当たり、中の薬草とリンゴが弾け飛ぶ。鬼モグラは少し、怯んだが直ぐに俺に襲いかかってきた。


 壊れたカゴで、攻撃を防いだが、そのまま押し倒されて馬乗りになる。


 かろうじて残ったカゴの破片で、鬼モグラの爪を押さえていく。


 ――駄目だ、全然力が出ない。そして、その破片も少しずつ削れていき――、


「――痛っ!」


 遂に、破片は壊れて、鬼モグラの爪が、俺の肩を切り裂いた。かろうじて、皮膚を少し切られただけだったが――、


 そして今度は、俺の喉に噛みつこうと、牙を剥き出した。


「――このっ!」


 俺は、すぐそばに転がっていたリンゴを、鬼モグラの口に押し込んだ。


 鬼モグラは、驚き唸り声を上げて俺から距離を取った。そして、口の中のリンゴを取ろうとしている。


 その間に、俺は立ち上がり、肩の傷を見てみると出血は多く、服に血が滲んでいた。


「イニス!?」


 イニスの元に駆け寄り、具合を見る。目立った傷はなく、気を失っているだけの様だった。


 ――グシャァ。


 その時、リンゴを潰す音が聞こえて、鬼モグラの方を見る。唸り声をあげながら、此方を睨んでいた。


 ――どうする!?このままでは、イニスも危ない。俺は以前、どうやって切り抜けた?


 ラスボスに消される前、この事件は確かに起きた。その時の選択が思い出せなかった。


 悪い結果になる、その記憶しか思い出せない――。その時だった。 


 ――ピィーー。


 警笛の音が、鳴り響き、鬼モグラの動きがピタリと止まった。


 そこに、ガシャガシャと鎧を鳴らしながら、騎士の格好をした二人の男女がやって来た。


 【ラスディア】と【ウォルド】だった。勿論、前の【セーブデータ】での記憶だけど。


「君たち!大丈夫か!?」


 二人が、俺たちと鬼モグラの間に入り、ウォルドが鬼モグラに剣を構える。


「ラス、その人達を頼んだ!」


「ウォルド、気を付けろよ!」

 

 ラスは、俺たちの側で座り、イニスの様子を確認する。


 彼女の容態に問題がないと判ると、ほっと息を付く。そして、今度は俺の肩の傷の具合を確かめる。


「……出血は多かったみたいだが、傷は浅い。これなら直ぐに、血も止まるだろう」


 彼女は、自分の鎧の右の腰当ての金属部分を開き、中から応急措置用の道具を取り出す。


 一つの小瓶の中身を布に浸し、俺の傷に当てる。少し染みたが、その間にラスの後ろに目線をやる。


 ウォルドと鬼モグラは、攻撃をしては距離を取る戦いをしていた。


「……これ、手で押さえてられるな?」


 ラスが、俺に傷を押さえられるか聞いてくる。それに、俺は小さく頷く。


 彼女は、それを確認すると、後ろが気になっていたのだろう、剣を抜き、ウォルドの元に加勢しに行く。


「ウォルド、手を貸すぞ」


 しかし、鬼モグラは相手が二人に成や否や、逃げ出してしまった。


「……逃げたか。【はぐれ】鬼モグラか……」


「どうやら、助けは要らなかったようだな?」


 二人は、剣を鞘にしまうと、再び俺たちの側に近づいてくる。


 ――彼の戦い方は、あんな感じだったのか。何故、俺がそれを知らなかったのは、


 本来であるなら、この場面で俺が鬼モグラを追い返しているはずだったからだ。


 ――何度もアレに殺されて、やっとたどり着いた選択を、思い出せなかった。




「……ん……?」


「イニス、気がついたか?」


 気を失っていたイニスが、目を覚ました。


「えっ……?あれ?」


 彼女が、戸惑うのも無理もない。イニスは今、ラスに抱えられている。


 正確に言うと、彼らの乗って来ていた馬の背に乗る、ラスに抱えられていた。


 そして俺も、もう一頭の馬の背に乗り、その馬をウォルドが引いていた。


「鬼モグラに襲われたんだ。危ないところだったけど、この方たちが助けてくれた」


「……そっか、私……」

 

 俺は、簡単に説明した。それで、イニスは大体の事を思い出したようだった。


 俺の傷にも、心配してくれたのだけど、出血は収まっていた。


「いや、無事に目が覚めて良かった」


「はぐれ、とはいえ死亡事例もあるからなぁ」


 ラスとウォルドの二人は、任務先への移動中に騒ぎを聞き付けたのだった。


 そして今は、イニスの住んでいる村に向かうため、簡素に鋪装された道に馬を歩かせている。


「君たちは、薬草を摘みに林に行ったのかい?」


 ウォルドの何気ない質問に、イニスが、答える。


「はい、そこでロックが、リンゴを見つけたらしく少し奥に進んで……」


「……リンゴ……?」


 イニスの言葉に、俺は思わず声を洩らす。――リンゴなんて、あったか……?


 俺が、不可思議に考え込むと、


「どうしたの?ほら、ロックがくれたリンゴ……」


 イニスはポケットから、リンゴを一つ取り出した。――本当に、俺が渡したのか?


 そんな様子を見ていたラスが、フォローを言ってくれた。


「まあ、必死に君を守っていたんだ。記憶も混乱するさ」


 俺は、ずっと疑問に思っていたものの全員、無事に村までたどり着くことができた。


 村に付くと早速、騒ぎになった。騎士がやって来て、更に俺が怪我を負っていたのだから、当然なんだけど。


「娘たちを救って頂き、感謝しております!」


 そう言ったのは、イニスの父親だった。俺の親は出てこない。


 なぜなら、すでに俺の両親は亡くなっていて、イニスの家の隣に住まわせてもらっているのだ。


 ――あれ?また、何かがおかしい……?


「偶然、通りかからなければ、手遅れになっていました」


「では、我々は失礼します」


 ラスとウォルドの二人は、早々に立ち去ろうとしたが、イニスの母親が引き留める。


「騎士殿、今日はもう暗くなります。お礼もしたいですし、今夜は泊まっていかれては……?」

 

 二人は、少し考え込んでいた。そして――、


「では、お言葉に甘えて」


「――ただ、我々は任務中ですので、朝には出立します。それで、宜しいでしょうか?」


 そんな感じで、話がまとまった。

 



 傷の再治療と、着替えを済ませて、安静にということで、俺は自室に戻っていた。


 自室といっても、殆ど納屋みたい物だけど。


「……ふう」


 自分のベッドに腰掛け、安堵のため息を吐く。今日の事を思い返していた。


 今日――、というよりは、【ラスボス?】に対峙してからの事だけど――。


 とりあえず、【メニュー画面】を開き、【セーブデータ】を見る。


 ――確かに、【セーブデータ】は二つ。一つは【ラスボス?】前の。


 そして、もう一つは先ほど、鬼モグラに遭遇する前の【セーブデータ】。


「……試しに、【ロード】してみるか……?」


 遭遇前に戻る、つまり怪我をする前に。しかし、俺は躊躇せず、【ロード】を選ぶ。


 再び、怪我をするかも知れない。でも、何度も体験したこともある。もう、慣れっこだった。


「……?」


 しかし、いくら待っても変化が無い。【メニュー画面】にも、【ロードできません】と表示されていた。


「やっぱり、駄目なのか……?【あいつ】め、とんでもない封印を……?」


 ――【あいつ】って、誰だ?いや、【ラスボス?】の事を何だけど、正体が思い出せない。


「――そうか!」


 俺は、気づいた。そう、【セーブデータ】の封印は、【時間と場所に移動できない】事と、


「記憶も、引き出せなくなるんだ!」


 先ほどの、イニスのリンゴの件がしっくりくる。多分、本当に俺が渡している。


 思い出せないのは、【セーブ】してしまったからだ。――それでも、少しだけ思い出せないのが特に、いやらしい。

 

「――それなら、【きろくをけす】を選べば……」


 そこで、俺は躊躇した。何が起こるか、分からないからだった。


 ――例えば、鬼モグラの件で、【メニュー画面】を開く行動がなくなり、タイミングがずれて結果として俺が死ぬ――。


 最悪、イニスが死んでしまうかも知れないからだ。【ロード】ができない今の状況では、選ぶことが怖かった。


 【ラスボス?】前の【セーブデータ】の方でも、想像できる。それを消すことによって、今の時間が無くなってしまう。


 そういった危険性があるので、今は保留にしておくことにした。


 村に昔から、ずっと住んでいるという記憶も、封印の影響なのだろう。


 ――ふと、【セーブデータ】の情報で、自分の【ステータス】を見てみる。

 

 普段は見れないが、【セーブ】された【セーブデータ】から、自分の【ステータス】が見れるようになる。


「……はぁ?」


 しかし、見慣れているはずの【ステータス】が殆ど、変わっていた。


 【攻撃力】、【防御力】といった表記が無く、別の表記に変わっていた。


 【魅力】、【気品】、【自信】といった表記に変わっていた。


「これって……?」


 それには、見覚えがあった。こちらの世界に来る前の、現実世界でのゲームの記憶――。


 【育成ゲーム】の【パラメーター】だった。今までは【ロールプレイングゲーム】の【ステータス】だったのに――。


 ――これも、【ラスボス?】の封印の影響なのかと眺めていると、【身長】、【体重】といった【パラメーター】を見つけた。


 ――【スリーサイズ】も。しかも、【服装】に【木綿の寝間着】とあり――。


「……ちょっと?」


 更に【下着】の情報まで、載っていた。


「そんなものまで、表記しないでよ……」


 俺が、ぶつぶつと変わってしまった自分の【能力】に文句を言っていると、ドアを叩く音が聞こえた。


「――ロック?起きてる?」


 イニスの声だった。返事をして、入ってもらう。


「傷の具合はどう?痛む?」


 彼女は、薬草入りのパン粥を持ってきてくれた。そういえば、まだ食事を食べていなかった。


「ありがとう。ちょっと痛むけど、大分良くなったよ」


 ――食事を進めながら、話をする。どうやら、騎士の二人はイニスの両親と、まだ話し込んでいるようだった。


 ――以前は、そこに参加していたのだか、こういう展開でも良いなと思った。


 ――と、開いたままの【メニュー画面】が見えた。


 イニスや、他の人には見えていないので、ついやってしまっていた。


 (……あれ?)


 自分の【パラメーター】の横に、【カーソル】が増えていた。


 (なんだろう?)


 俺は、【カーソル】の方向に動かしてみる。すると、そこには――、


 【イニス・ファーシア】と出て、イニスの【パラメーター】が表示された。


 自分の【パラメーター】と同じように、【魅力】、【気品】等と表記されていた。


 違うのは、俺より【魅力】が、かなり高く、【自信】が低い。そして、【身長】が、低く、【スリーサイズ】が……。


 ――とりあえず、【ふくよか】ということが、分かった。


 【服装】は、【木綿のドレス】、下着の情報は無かった。どうやら、目に見えての情報らしい。


 それと、大きな【赤いハートマーク】と、その下に小さな【ハートマーク】が、


 【赤、青、黄、緑】と、縦に並んでいた。それの横に、【バー】が伸び、それに【三角のカーソル】が付いていた。


「――ロック?どうかしたの?」


 イニスに心配されて、俺は、ハッとする。どうやら、表情が険しくなっていたようだ。


「……あっごめん。何の話だっけ?」


「……もう。もしかして、ラスディアさんが気になるの?」


 確かに、ラスディアは見とれるほど、美しい顔立ちだった。


「そうだよねぇ?私も、見とれちゃったもん」


 ――それに、騎士の様な格好の良い職なのだ。憧れるのも無理もない。


「そうかな?俺は、イニスの方が家庭的だし、かわいいし……」


「――!?」


 俺の何気ない言葉に、イニスは口を結んで顔を赤らめる。


 ――ピロン。


 ――と、音が鳴り、イニスの頭の上に【赤いハートマーク】が上がり、直ぐに消えた。


「……なんだ?」


「――えっ?あっ何でもないよ!」


 イニスは顔を、ブンブンと振った。照れていた事を聞かれたと思い、それを隠したかったのだろう。


 俺は、出したままの【メニュー画面】を見る。まだ、イニスの【パラメーター】が表示されていたのだが――、


 大きな【ハートマーク】が、ほんのりとピンク色に染まったようだった。


 自分の【パラメーター】には、付いていないことを考えると、


 どうやら、この【ハートマーク】は【好感度】を表しているようだった。


 俺が、彼女に良い印象を持たれると、ピンク色になっていくのだろう。


 下の四色の【ハートマーク】に関しては、おそらく【感情】を示しているのでは、と考える。


 予測すると、俺に対して――、


 赤は【怒り】、青は【悲しみ】、黄色は、【喜び】……?緑は、【恐怖】……かな?


 彼女のは、赤が【バー】のやや左に【三角のカーソル】、青が右側の真ん中。


 黄色が左側の真ん中で、緑が左端の方。……あれ?


 俺に、少し怒っているのだろうし、無事に帰ってこれたのだから、悲しくもないだろう。


 たが、黄色と緑が左に傾いていると言うことは、楽しくて恐怖している?


 いや、逆かな?恐怖はしていないけど、楽しくもない。……多分、そうなんだろう。


 この点については、他の人の【パラメーター】を見て、もう少し考察しておこう。


「そっそれでね!」


 照れ隠しなのか、イニスが、無理やり話題を変える。


「ラスディアさんと、ウォルドさん。明日の朝には【魔法学都】に向かうんだって」


「【魔法学都】……!?」


 ――そうだった。彼らの勤務先の【魔法学都】で、ウォルドが死んでしまう。


 以前に、何度も繰り返して、何度も見ている。彼が死ななかった時の事が思い出せない。


 ――これも、封印の影響か……。果たして、助けることができたのが、残っている【セーブデータ】なのか。


 それとも、諦めてしまった【セーブデータ】なのか……。


「……どうしたの?」


「あっ。いや、行ってみたいなと、思って……」


 兎に角、ついて行く方法を考えていた。――それが、つい言葉にでてしまった。


「無理だよ~?だって私たち、ただの村人だよ?」


 その通りだった。以前は戦う力もあったし、身元不明の人物でもあった。


 更に、この世界の事を知るためという理由で、彼らに付いていくことになっていた。


 ――しかし、今は只の村人。ただ、付いていくことは難しいだろう……。



 ――話をしている内に時間が過ぎ、イニスは眠りに着くために、彼女は自分の部屋に帰る。


「それじゃ、お休み」


「……お休み」


 俺は、不安を抱えながら、ベッドに横になる。結局、考えがまとまらないまま、朝を迎えようとしていた――。


 ――続く。

『前話の、男性バージョンです』


「【はじめから】の選択での性別を男性にした場合だね」


『はい、なので殆ど変わりません』


「いやいや、主人公のロックの部屋、隣でしかも納屋みたいって父親ひどくない?」


『そこは、【すまないが、納屋みたいな部屋だが大丈夫かい?】といった事があったのでしょう』


「まあ、自分の娘と同室にしたくはないね」


『それに、アンだった場合、一人部屋だったのを無理に二人部屋にしてますから、こっちの方が狭く感じていると思います』


「ゲームでいう、キャラ別の誤差ってやつだね」


 殆ど内容は変わっていませんが、この形で進めます。


 ここまで、読んでいただきありがとうございます。


 (……ここも、殆ど同じになってしまいました)

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