6 間
衰えているのが目に見えて分かるようになってしまったこの頃です……。(がんばらねばならないですね)
まずは僕からと、切り出して、自己紹介しようとする。
「あのさあ」
自己紹介しようとした僕を、冷たい青年が遮る。
「俺たちこんなところで素性晒し合ってもさ――得なんて一切なくない? 仮にここから脱出できても――俺たちは元々関係のない、接点のない人たちだ。それなのになぜ、素性を晒し合う?」
「それならどうしたら」
「ニックネーム、みたいなんで呼び合うとかか?」
「それだな」
もう二人の間では結論が出来ているらしく、それでいいかと、僕に目で訴える。そうして訴えてくるのは――二人の中で、僕がここの、一応のリーダーだから、だろか、それとも、僕の行動が、あまりにのろまだからか。
「それでいいと思う」
僕もそれに同意し、少し形式を変えた形で、自己紹介がまた始まる。
「それじゃあ俺から言おうかな」
そう言って、冷たい青年がまたも僕の言葉を奪う。
「俺のことは、そうだな……――『フード』とでも呼んでくれ。それ以外は、特にここで言う必要もないだろ」
「じゃあ次は僕が――僕のことは……」
何にしよう。フード君のように、自分の特徴を挙げて、それをニックネームにしてもいいのだが、前に言ったように、僕には自分に関する記憶がない。
故に、僕は。
「『フォーゲット』、かな」
「フォーゲット……『forget』――忘れる……それが今の君なのか?」
「それは――今は言えないかな……」
さて、後一人。
「で、俺はどうしようか……」
「「ゴリラでいいんじゃん?」」
――初めて意気投合した瞬間だった。