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驚愕(いや、これはもうただただ驚きだ)

『映像も受信しました。(ほまれ)です』


エレクシアのその言葉に、俺は慌ててタブレットを取り出した。エレクシアが受信した映像を転送してもらう。


(ほまれ)…!」


(ほまれ)だった。間違いなく(ほまれ)の姿がそこにあった。メイトギアのものらしき腕に抱かれて目を瞑ってる姿だった。同時に、バイタルサインが表示されている。体温、脈拍、呼吸、いずれも若干の異常値を示す黄色で表示されてるが、それは人間の平均値と比較してのものだから、(ほまれ)には当てはまらない。


エレクシアも言う。


「バイタルサインも正常値です。寝ているだけですね」


さらに、


「距離は約二キロ。急げば三十分で到着できます。ただ、キャパシタに残された電力ではもう長くはもたないと言っています。急ぎましょう」


そう言われた時、俺はもう我慢できなかった。


「エレクシア、俺を背負って行ってくれ!」


いくらロボットとは言え、女性の姿をした彼女に背負われるというのは、正直、何とも言えない抵抗感があって、できれば避けたかった。だがもうそんな安っぽいプライドなどどうでもいい。今はとにかく早く(ほまれ)に会いたい。


「承知しました」と応えたエレクシアは地面に降り立ち、躊躇うことなく俺を背負ってくれた。体格的には俺よりは華奢な筈の背中が、とてつもなく頼もしい。


万が一振り落された時の為にヘルメットを被ると、彼女は言った。


「では、行きますよ。マスター」




俺の足なら三十分はかかるところを五分で到着すると、そこは、密林が途切れ荒地になった小高い丘の麓の小さな洞窟だった。


「あの中ですね」


俺を下ろしながらそう言うエレクシアと共に中を覗き込んだ俺の目に映ったのは、洞窟の壁にもたれ、土埃を被って黄色く変色したメイトギアと、その胸に抱かれて眠る俺のバカ息子の姿だった。


(ほまれ)!!」


つい大きくなってしまった俺の声にビクンッと撥ねるように(ほまれ)が飛び起きた。そして、自分を抱き締めてくれていたメイトギアの後ろに回って身を隠す。


恐る恐るこちらを窺う様子に、俺はもう、それ以上何も言えなかった。ただただ元気そうな様子にその場に座り込んでしまいそうになる。


そんな俺とは対照的に、エレクシアはあくまで冷静に淡々と、途中に残してきたマイクロドローンを中継してセシリアと連絡を取り合い、(ほまれ)の無事とメイトギアの発見を伝えていたのだった。


その通信の内容が、俺のタブレットから流れてくる。


「無事だったんですね! 良かったあ……でも、メイトギアが一緒だったんですか!? メイフェアXN12A? 間違いありません。コーネリアス号に配備されていた機体です!」


セシリアも驚きを隠せない様子で応えている。もちろん俺も驚いた。まさか、調査に出たまま帰ってこなかったコーネリアス号のメイトギアとこんなところで遭遇するとはな。



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