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鷹の実力(改めて彼女は強いんだと実感したよ)

正直、まさか命中するとは思っていなかった。これ以上ないくらい完全なまぐれ当たりだ。


弾丸は樹脂製のスタン弾だったが、実は手加減することを目的にそれを選んだ訳じゃない。小さくて素早いボクサー竜に狙って命中させられるほどの腕は俺にはないので、あくまで銃声で威嚇する為にハンドガンを使っただけだ。


それに、スタン弾と言えど、体の小さいボクサー竜だと当たり所が悪ければ死ぬ。実際、俺が撃ったボクサー竜はビクビクと痙攣を始めていた。どうやらダメみたいだな。


しかも、(よう)の方に改めて視線を移すと、ボクサー竜を捕らえて木の上に上った彼女が首筋に食らいついてとどめを刺すところだった。頸椎に当たる部分を噛み砕き、確実に殺して放り出す。


彼女にとっては当然の行為だろう。生身の生物とでは力の差がありすぎるエレクシアと違って、油断したり変に手加減をして反撃されれば死ぬのは(よう)の方だ。だから彼女の行為を咎めるつもりはない。


そして彼女は、再び樹上から地上目掛けて急降下した。「ギャッッ!!」という悲鳴が上がったかと思うと、再び木の上に現れた(よう)がボクサー竜を口に咥えていた。木を駆け上りながらとどめを刺していたのだろう。それも放り出し、次を狙う。


だが、そこまでだった。油断なく周囲に視線を送るが、もう飛び降りることはなかった。恐らく、仲間を三匹も失ったことで、ボクサー竜の群れが逃げに転じたということだろうな。


エレクシアやセシリアには歯が立たず、クモ人間相手にも勝ち目がなさそうに見えた(よう)だが、やはり死角になる頭上から狙える分、ボクサー竜相手には優位なようだ。群れでなら恐らく(じん)とも互角以上に戦えるだろうと思っていたそれを相手のこの結果に、俺は改めて彼女の強さを実感していた。


どうやら危険が去ったなと思って俺が家の方に視線を向けると、宇宙船のタラップに手を掛けたエレクシアの姿に気が付いた。


「ご無事で何よりです」


俺を守る為に出てきてくれたんだろうな。今回はたまたまその力を借りる前にケリがついたということだ。


「ああ、(よう)のおかげだな」


彼女の力に感心する俺をよそに、(よう)は自分が倒したボクサー竜二匹を手にローバーをよじ登り、一匹を(しょう)に与え、もう一匹はそのまま自分がかぶりついていた。


顔を血まみれにしながらガフガフと獲物を食らうその姿は、恐ろしげでもありながら強さや頼もしさを感じさせるものでもあった。


彼女の実力を再確認させてもらった気分だよ。



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