調査(細々と続けてはいるんだが)
この惑星そのものについての調査は、ドローンやプローブを使ってできる範囲で細々と続けている。その中で、密達とはまた別の、人間由来と思しき生き物の姿も確認できた。
ヒョウ人間。伏に似た感じだが、こちらは密林に住みまさにヒョウっぽい斑模様が体にある。密の種族にとっては刃の種族と並び日常的な天敵らしい。
フラミンゴ人間。鷹と同じように翼で滑空する鳥人間だが、猛禽類っぽい鷹に比べこちらは赤い羽毛を持つまさにフラミンゴを思わせる外見をして、群れで生活していた。主に魚やエビカニ的な甲殻類っぽい小さな水生生物を食べているようだ。
ダチョウ人間。こちらも鷹と同じように翼を持っているのだがそれはもはや滑空すらままならない殆ど装飾品のようなものでしかなく、ダチョウのように完全に足で走って移動する生き物だった。飛ぶことを捨てたのだろうか、それともキメラとして生まれた時から既に羽が未熟で飛べなかったのか。その辺りはまだ判然としていない。
オオカミ人間。伏やヒョウ人間に似ているが何となく犬っぽい印象がある、銀色の体毛に覆われて群れで生活する種族。なかなか獰猛で、しかも群れで狩りをするので遭遇すると危険だと思われる。
クモ人間。いわゆる<アラクネ>と呼ばれる伝説上の生き物そっくりで、人間由来のキメラとしてもかなり特異な存在らしい。ただ、クモのような姿はしているが生態的にはタランチュラ辺りに近いようで、糸で巣を張るようなことはしないと思われる。非常に獰猛で動くものと見れば片っ端から襲い、容赦なく食う姿が確認されている。共喰いも確認された。体がでかいのでとにかくひたすら食ってないと駄目なようだ。
以上が、現時点で確認できている種族である。さすがにこれ以上ハーレムを大きくするとそれこそ体がもたないので手を出すつもりは今のところない。仲良くできればそれに越したことはないんだが、クモ人間などは明らかにヤバい感じなので近付かないようにしようと思う。
これらは、セシリアが<里帰り>した際に、俺が持っていたマイクロドローンを放ってもらったのに加えて、惑星探査船であるコーネリアス号に装備されていたドローンやプローブを使えるようにして道中に放ち記録された映像などから判明したものである。コーネリアス号の装備品についてはセシリアでないとリンクできないので完全に彼女任せだった。
なお、クモ人間の生息域は幸い河向こうに限定されているらしく、しかも例の不定形生物を恐れてか河には近付かないようなのでこちらには来ないようだ。密や刃にも映像を見せてみたが警戒はするものの不定形生物を見た時のようには恐れなかったので、おそらく見たことすらなかったんだろうな。鷹に見せた時にはかなり強く警戒していたので彼女らにとっては天敵だと思われる。




