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暦の話(まあ今さらだが、感覚的に無いと不便でな)

正直、子供達が小さいうちはまったく身動きが取れる気がしない。特に(ほまれ)(そう)(しん)(かい)の四人が落ち着くまでは出掛けることさえできやしない。


迂闊にローバーに乗せて連れ出そうものなら、行った先でそれぞれ勝手に動き回って収集つかなくなるだろう。だからせめて無軌道なはしゃぎっぷりが予測可能なレベルにまで安定するまでは無理だな。


その四人に比べると(ひかり)はまったくもって<天使>だよ。見た目も人間に近いからか立ち振る舞いも人間と変わらない。


今日も(きたる)と一通り遊んだ後、泥まみれになったので服を脱がせてシャワーで洗ってやった。


成長が早いから外見上は三歳になるかならないかって感じか。しかし実際の年齢はまだ一歳ちょっとである。


なお、以前にも触れたが、この惑星の自転周期は約二十五時間で公転周期は七二二日。地球の二年程かかってやっと一年という計算だ。だが、それだと感覚的に不便だし、この辺りは四季の変化も殆どないので、一公転周期を前期と後期に分けてそれぞれを一年ということにした。


これはあくまで人間である俺にとって暦という概念がないと不便だというだけで便宜上そうしているに過ぎないが、実は割とよく行われていることでもある。


人間が初めて移住した惑星である火星でも最初期の頃には使われていた方式だ。もっとも、現在、火星は自治権を得て総合政府から完全に独立し、一公転周期を一年とする火星独自の暦を作って、住人達は自らを<火星人>と、誇りを持って称しているそうだ。


フィクションなんかではよくここで地球と火星で戦争になったりする展開が多かったようだが、実際には惑星同士の戦争はそれほど起こっていない。


もちろん、小規模な衝突は今でも時々起こるし、惑星内で紛争が起こることは度々あるが、惑星同士の全面戦争となると、西暦を含めた人間の歴史約六千年の間でも数えるほどしか起こっていなかった。


昔の人間達が想像していたほど、人間という生き物は案外、愚かでもなかったということだろう。


生活圏が増えたからその分だけ人口も増えて、総合政府の管轄内だけでも二百億以上。完全自治を得てる惑星などを含めると三百億人近いらしいが、地球の人口は二十億人。火星の人口は十億人。それ以外の惑星も大体五億人程度(一部例外あり)と、資源を食い尽くしてしまうようなこともせず、まあつつましやかなものだ。穏やかにゆっくりと広がっていってる状態だな。


その所為で、まだ地球だけが生活圏だった頃に作られたという古典のフィクションではよく使われた<人間は宇宙の癌>みたいな設定はすっかり陳腐化し、今ではコメディものでネタとして使われるくらいである。


と、話が脱線してしまったな。


この惑星の暦の話に戻すと、子供達の年齢は仮の暦に従って計算している。なので、おおむね地球での年齢に近いものになっているし、その辺りは伝わりやすいだろう。とは言え、(ひかり)達自身には何の関係もない話だろうが。



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