セシリア専用(と言っても元はコーネリアス号のだが)
夜、基本的には夜行性である伏以外はほぼ眠りについても、ロボットであるエレクシアとセシリアは休むことなく仕事をしてた。
特にセシリアは、昼間は忙しくてこの場を離れることもできないから、コーネリアス号への里帰りも夜のうちに行うことになる。
その為の<足>が、セシリア専用ローバーである。
と言うのも、探索船であるコーネリアス号にも当然、探索・調査用のローバーは搭載されていて、それを持ち帰ってきていたのだ。
元はと言えば、鷹が俺のローバーのルーフキャリアを<巣>のようにしたものだから、なるべくそちらは使わないようにしようと思って、セシリアとエレクシアがメンテナンスと改造を行い、使えるようにしたのだった。
ただ、アミダ・リアクターが開発される以前のものなので充電式だし、ブランゲッタ(フライングカーペット機構)がローバーにも搭載できる程に小型化されてなかったから装備されてないしで、いろいろと大変だったけどな。
屋根にソーラーパネルを設置できるようになっていて、ソーラーパネルもまだ十分に使えたからそれでも充電できるんだが、やはり天気が良くてもフル充電に一週間はかかってしまう。天気さえ良ければソーラーパネルだけで走らせることはできても少し曇ればそれも無理だ。しかもバッテリーが劣化しきっていて駄目になっていたので、俺達のローバー用のバッテリーの予備を転用して積んである。ローバー側の端子を改造して無理矢理繋いだことで運転席のコンソールには常に<バッテリーチェック>の警告灯が出てるが、まあその程度は仕方ない。
また、俺達のと同じく水陸両用とは言え、ブランゲッタが搭載されてないことで踏破性や乗り心地や水上での安定性にもいささか難がある。普通の舟と同じで下手をすれば転覆や沈没の危険性もある。なので、完全に、いざという時でも大丈夫なセシリア専用となっていた。
ちなみに、セシリア自身、今はキャパシタの容量だけで動いてるので充電なしだと半日程度しか活動できない。それを、ローバー側から給電して補ってることもあって、ローバーにフル充電しても二日ほどしかもたない。夜に使うからソーラーパネルも役に立たないし、何よりエネルギー効率が現在のそれに比べると冗談のように悪いんだ。俺達のなら、アミダ・リアクターからの給電をカットしてバッテリーだけで使っても半月はもつんだが。
さらに、リアクターを転用しようと思っても設備がなくて無理だった。あれは設置するのに専用のそれが必要になるからな。でもまあ、セシリアがコーネリアス号に里帰りしてメンテナンスを受けて帰ってくるくらいなら十分に使えるからいいとしよう。
それ以外については、過酷な条件下での使用に耐えるように作られているローバーの耐久性からすれば、空気清浄機のフィルターを清掃する程度で済んだのだった。




