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誉編 自尊心

生きる為に狩りをしていた(かく)には申し訳ないし、他の群れのパパニアンを同じように守らないのは<エゴ>であることは承知している。


しかし、<自分の家族や身内や仲間>を守ることは、社会性の動物としては至極当然の筈だ。


だから俺は、メイフェアにこの命令を与えた自らを責めることはしない。


それと同時に、自身の判断が果たして適切だったかどうかを省みることはやめないけどな。


でないと、好ましくない判断をした時にもそれを反省し改めることができなくなってしまう。


『自分は正しい。自分は間違ってない』


そう思い込めば、目先のストレスは確かに減るかもしれないが、適切でない対応を改めることができなければ状況を悪化させ、結局は自分や自分の大切な存在を苦しめることになってしまうかもしれない。


自分が、正しくないことをしてしまう時がある、間違ったことをしてしまう時もある。この事実を受け止めた上でさらにその時その時の自身の判断や対応に責任を持つ覚悟が必要なんだろうな。


俺は、そうありたいといつも自分に言い聞かせてる。


それに、自分が正しくないこと、間違ったことをしてしまう場合もあると自覚してそれを受け止めることができれば、他人に自分の間違いを指摘されてもその言葉に耳を傾けられるだろうし。


時々いるよな。間違いを指摘されても絶対にそれを認めようとせず、嘘まで吐いて自分を正当化しようとする奴。


自分が言ったことの間違いを指摘された時、それを訂正したり補足するんじゃなくて、<言ったという事実>そのものを無かったことにして言い逃れようとする奴。


本人の発言のログを提示されても、それついては話を逸らしたり無視したりして、ただ煽ってきたリっていう奴。


俺が人間社会にいた頃にもそういうのがゴロゴロいた。勤め先にもそういうのがいて、ミスをなすりつけられたこともある。


自分の指示にミスがあったにも拘らず、『知らない』『言ってない』の一点張りで、その際のやり取りのログが出てきても、『知らない』『自分の発言じゃない』で言い逃れようとしたんだ。


もっとも、それは、本人しか使えない端末から発信されたログだからそんな言い逃れが通用する筈もなく、結局、異動させられることになったんだが(万が一他人に端末を勝手に使われたんだとしてもその場合は管理責任を問われるから、どのみち処分は避けられない)、とことん面倒な奴だったな。


自分のミスは決して認めず、それでいて、他人のミスはあげつらう。どんな風に育てられたらあんな人間になるのか、不思議で仕方ない。


後日、そいつがネット上に上げていたページを見ると、自分が何か失敗をしたことについてはほとんど触れず、たとえ触れていてもどこかに躓いてコケそうになっただとか本当に些細などうでもいいことだけで、かと思うと、他人のミスについては針小棒大に書き連ねてた。


しかもご丁寧に、自分がそのミスをフォローしてやったと、ひたすら自分を持ち上げて他人を落とすということを繰り返していた。


おそらく、そうすることでしか自尊心を保てなかったんだろうなと、今では思うよ。



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