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誉編 ストーキング

メイフェアが(とどろき)の危機に積極的に動かなかったのは、当然、彼が(ほまれ)に対して不敬であるという認識が彼女にあったからというのもあるだろう。


感情(のようなもの)を備えているが故にパパニアンを人間と同様に捉えてしまい、しかし同時に、感情(のようなもの)を備えているが故に自分の気に入らない個体については普通のロボットのように冷淡に切り捨てようとする判断が働く。


が、先にも言ったがやはり(ほまれ)が悲しむことを思うと、放っては置けなかったんだろうな。これもまた、感情(のようなもの)がなせる業か。


自らにリンクさせたドローン数機を現場に集結させ、万が一に備える。


俺としても、他の群れの場合はそれこそ関知しないものの、息子である(ほまれ)の<仲間>であり<家族>であれば俺にとっても親類のようなものなので、この辺りはあくまで<エゴ>でしかないのは承知の上で、守ってもらうことにしている。


とは言え、いつもいつも露骨にメイフェアが助けたのでは、彼らとしてもいずれ彼女に任せきりになり、自分達で外敵と戦うことをしなくなってしまう可能性もあるだろう。これも合わせて考慮して、あくまで偶発的な出来事を装って、ドローンを外敵に急接近させたり、逆にパパニアン達に急接近させて驚かせ、結果としてその場から逃げさせるという形を取っていた。


で、今回の場合は、すぐにフォローに入れる位置にドローンを配置できたこともあって、(とどろき)自身が一~二を争う危険な天敵であるマンティアンを相手にどう対処するかを見る為に、彼にその経験を積ませる為に、まずは様子を窺う。


すると、


「ぎあっ!」


と警告音を発して、(とどろき)が身構えた。マンティアンである(かく)の接近を察したのだ。


正直、俺では完全に気配を消されると気付く自信がないマンティアンのストーキングに気付くとは、さすがだな。


仲間を守るボスとしての才能は十分に有りそうだ。


そして部下である若い雄達をその場から退避させる。パパニアンではマンティアンと真っ向からやりあっても勝てる道理はまったくない。およそ数秒ともたずに狩られてしまうのがオチだ。だからとにかく必死で逃げるのが最善の策である。


だが、その辺はマンティアンも心得ていて、故に十分に距離を詰める為にストーキングするというわけだ。


この時も、かなりいいところまで距離を詰めることができていた。


だから気付かれた瞬間、凄まじい瞬発力で一気に(とどろき)達に迫る。


その動きは、殿(しんがり)を務めた(とどろき)に狙いを定めているのが分かったのだった。



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