表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

474/2945

誉編 碧 その6

俺は、ただ人形のように他人の言いなりになるだけの人間は好きじゃない。


それがどんなに可愛らしくても、美しくても、な。


だから決して俺の思い通りにいつも振る舞ってくれるわけじゃなかった(ひそか)のことも今でも好きだし、(あお)のことも気に入ってるんだ。


って、何度も言うが、厳密には<人間>じゃないけどな。


でもまあ、遺伝子的にはほぼほぼ人間だから、俺の中では人間に準じた存在って認識ではある。


ただし、ロボットであるエレクシアはその辺りものすごくシビアだ。<法律上の人間>以外は人間とは決して見做さない。


これは、人間以外の生物を優先して人間を傷付けたりしないように設定されたものだ。


守るべきは常に人間であって、人間以外の生き物は、法律に基づいて対応する。<動物愛護法>とかな。


現在の(と言っても俺がまだ人間社会にいた頃の話なのでもしかしたら細かい部分は変わってたりするかもだが)<動物愛護法>は、人間の身体生命に危害が加えられない範囲において、人間以外の生物を保護するという趣旨だそうで、たとえ貴重な保護動物であっても、人間を襲い、他に対処法がない場合にはその場で<処分>されたりもするんだ。


もっとも、実際にその対処に当たるのはほとんどの場合ロボットであり、圧倒的な能力差を活かして、逆に殺すことなく対象の動物を制圧できるけどな。


要人警護仕様のメイトギアをはじめとしたロボットが過剰なくらいの戦闘能力を与えられているのは、実はなるべく対象を殺さないようにする為という意味もあるらしい。とにかく一瞬で相手を圧倒し、制することで、結果として生け捕りにするんだと。


なるほど合理的だな。


ただそれでも、どうしても共存できない相手の場合には、人間の生存を優先する。冷徹に、容赦なく。


これまでにもそういうことは何度かあった。グンタイ竜(グンタイ)であったり、俺が<(みずち)>と名付けた、神話に出てくる<ラミア>のような半人半蛇の怪物的なのについては、そもそもこの惑星の他の生物にとってもあまりに危険で、生物としての道理に外れた生き物だったから、生存競争として駆逐させてもらった。


そういう場合を除き、基本的には殺さないように心掛けてる。


それは、(ほまれ)達を襲う<敵>に対してもだ。


ただ『危険だから』というだけで排除していっては、それこそ病原菌を運ぶような、それ以外は基本的に大して害もない小さな生き物まで皆殺しにしなければいけなくなってくる。


人間はかつて、<害虫>や<害獣>を根こそぎ駆逐しようとして手痛いしっぺ返しを食らったこともあるそうだ。


その反省から、


『人間にとっては害だ』


というだけで生き物を皆殺しにするような真似は避けるようになったんだよな。


そういう背景を知るはずもないだろうが、(あお)は、メイフェアのことをきちんと<利用>しようとしてる節がある。


いやはや、本当に強かだ。


しかし、それくらいでないと、野生の群れを率いていくことなんてできないんだろうけどな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ