表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

466/2940

誉編 静 その3

パパニアンは、人間の特性が比較的色濃く残っているらしく社会性の動物ではあるものの、社会性の動物であるが故に序列に厳しく、下位の者は上位の者に対して反抗的に振る舞うことが許されない。


しかし、序列の上下というのは、力の強い弱い、容姿の美醜が関係しているのは事実であるが、実は大部分があくまで『なんとなく』で決まってしまうらしい。ボスに気に入られるかどうかなんて、まさにそれだろうし。


で、母親のヒエラルキーがそのまま子供にまで反映されるというのが、俺にしてみると悲しくて仕方ない。


とは言え、俺に口出しできることでもなく、ただ見守るしかできないわけで……


(しずか)も、子供の頃は、おとなしくて見た目にも華奢で、いかにも弱々しい感じだったようだ。だから余計にイジメられたんだろう。


が、彼女はそんな過酷な状況を生き延び、しかもボスが交代した際に新しいボスに気に入られ、立場が大逆転することになった。


すると彼女はそれまでの鬱憤を晴らそうとするかのように、主に、前のボスの妻だった雌達とその子供達を標的に横暴に振る舞うようになり、時には天敵から群れを守る為の<スケープゴート>として供したり、餌を与えないようにしたりと、なかなかに苛烈な<復讐>を行っていた。


これについては、後に(ほまれ)がその群れに合流した際にメイフェアも合流。(しずか)による圧制の様子を記録するようになっていったんだ。


だが、(ほまれ)のことは群れに加わった時点から(しずか)は自分の子以上に可愛がってくれて、余所者であるが故のイジメのようなものからは概ね守られることになったのが分かってる。


(ほまれ)が群れの中での地位を上げるようになったのも、(しずか)がライバルになりそうな若い雄に圧力をかけたからというのも影響しているのは間違いない。


けれど当の(ほまれ)は、人間である俺の下で育ったこともあってか、仲間同士でイジメたりイジメられたりということは好まず、まるで母親のように自分を守ってくれている(しずか)に対しても、彼女が仲間をイジメるような振る舞いをしているとそれを諫めるような様子も見られた。


これがまた仲間の信頼を得る結果となり、後のボス就任を後押しする結果になったのだろう。


その次のボス(つまり(ほまれ)から見て二代前)は、俺が(らい)と名付けた個体だったんだが(実はこの前に、三代目のボスを倒して暫定的にボスの座を得たのがいたものの、それは群れからボスとして認められる前に(らい)に取って代わられたので、正式には歴代のボスに加えていない)、その彼も僅か一ヶ月ほどでボスの座を追われ、誉の前にボスだった者に取って代わられることになった。


ただし、新しいボスは(しずか)のことをあまり快く思っていなかったらしく、彼女は再び冷遇される形になったのだが。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ