表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

462/2933

誉編 命 その4

(ほまれ)に助けられて群れに加わったらしい(みこと)は、はっきり言って親子ほどの年齢差がある。


人間で言えば<小児性愛>だのなんだのと言われるレベルだろう。


だが、その一方で、(ほまれ)(しずか)とも、親子ほどの年齢差がある。


(しずか)(ひそか)に比べるとまだ若いものの、(ひそか)(ほまれ)を生んだ時には、もう、パパニアンとしては既に結構な年齢になってたからな。


つまり、熟女・同年代・少女という、綺麗に三世代に分かれた妻を、(ほまれ)は娶ってるわけだ。


もっとも、それを奇異に感じるのは人間だけで、野生では子供を生み育てる能力さえあれば年齢はそれほど問題じゃなく、普通のことなんだろうが。


実際、(ほまれ)は、三人の妻を同じように大事にしている。それぞれの間に子供も生まれ、ボスとしての役目もしっかりと果たしていた。


そんな(ほまれ)の下で、(みこと)も、しっかりとボスのパートナーとしての務めも果たしているようだ。


子供達に乳をやり、守り、時には群れのルールを教える為に我が子を押さえつけたりもしながら頑張っている。その姿は、(ほまれ)を育てていた時の(ひそか)にも通じるものがあるな。


その一方で、上二人の妻の前では序列を理解しているんだろう。決してでしゃばった真似もしない。


この辺りはさすがに野生の動物だなとも思う。


群れの中で生きる為の身の振り方もわきまえているのが分かる。


(あお)の毛繕いをしていたかと思うとすかさず(しずか)の毛繕いもおこない、きちんとそれぞれのご機嫌を取ることも忘れない。


その辺りの振る舞いから想像する。


彼女がこの群れに加わったばかりの頃を。


とてつもなく恐ろしい出来事を目の当たりにして、きっと<不安>なんて言葉じゃ言い表せない感覚の中にいたんだろうと思う。


もちろん、人間に比べるとその辺りははるかにタフだとは思うものの、それでも恐怖などは感じる筈だからな。


そして(ほまれ)も、彼女ほどではないにせよ、たった一人取り残されてたまらない不安の中に放り出された経験がある。


(ほまれ)の場合は、ちょっとした冒険のつもりで遊びに出て他の群れの縄張りに踏み込んでしまい、それで追われて逃げ回ったことで俺達からはぐれてしまった形だから、自分の蒔いた種っていう面もあるものの、それでも、幼い子供にとってはとてつもない恐怖だったろうな。


その時にたまたまメイフェアと出逢い、結果としてそれで救われたから、たぶん、自分がメイフェアにしてもらったことを真似したんだろうと思われる。


それが、きっと不安の真っただ中にいた(みこと)にとってはどれほどの救いになったのか……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ