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第二部 ~芽生え~

(ひそか)(ほまれ)がとうとうボスになったぞ」


供えられた花がすっかり根付いてまるで花畑のようになった墓の前で、俺は手酌で酒をちびりちびりとやりながら、(ひそか)達に話しかけていた。


(じん)に対しては、


(めい)も元気だし、(えい)も大きくなったぞ。しかも(じょう)にも子供が生まれたんだ」


(ふく)に対しては、


(しん)は相変わらずだよ。ますますお前そっくりになっていってる。(そう)(かい)は立派にそれぞれ群れを率いてる。子供も何人も生まれて、どこまでが俺達の孫か分からなくなった。(さい)(りん)も元気だ」


(よう)に対しては、


(しょう)も立派にお母さんしてる。(すい)はまだパートナーを見付けてないが、あいつもいい男だし、まあ大丈夫だろう」


と、それぞれ子供達の近況について<報告>させてもらう。すっかりそれが俺の日課になっていた。


そんな俺に、


「おとさん、いってきあす」


と声が掛けられる。振り返った先には、(ひかり)(あかり)を伴った(じゅん)が立っていた。


「おう、気を付けてな」


チームB(ブラボー)のリーダーは変わらず(ひかり)が務めてるが、(じゅん)もすっかり人間っぽくなって見違えるようだ。知らない人間が見たら(じゅん)がリーダーに見えるくらいに立派になったと思う。


今のところまだ、(ひかり)に妊娠の兆候は見られないものの、関係は良好である。その一方で、(あかり)との関係については、彼女の方に照れがあるみたいでなかなか進展しないようだが。


それでも、(あかり)(じゅん)のことはちゃんと異性として意識しているから、まあ、あとは慣れの問題だろうな。


……たぶん。


ローバーに乗り込もうと歩いていく三人の後ろを、イレーネが付き従う。


彼女の義手義足は、既にバージョン23にまで進み、改良を重ねたことで、左右の足の性能差もあって若干足を引きずるように歩くものの日常生活には全く支障のないレベルになっていた。


ただし、やはりコーネリアス号の工作室の能力では、戦闘用のそれとしての性能は十分に確保できず、その面では、使われている技術に二千年ばかりの開きがあるエレクシアは元より、同時期に製造されたメイフェアにも一歩劣るのは否めない。


もっとも、生物が相手なら今の性能でも何も支障はないだろう。理論上でなら、あの(みずち)を改めて相手にしても圧倒できるだけの能力は確保できているそうだし。


そんな四人を見送った俺に、エレクシアが近付いてきて、


「メイフェアからの定期報告を受信しました。昨日までの時点で特に異常は見られないとのことです。(ほまれ)もボスとしての役目を立派にこなしているとのこと」


と告げてきた。


「そうか。ありがとうと伝えておいてくれ」


そう応えて、俺もそろそろデータ整理の仕事をしなくちゃなと、立ち上がったのだった。



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