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來と彗(これまでもあまり絡むことはなかったな)

(きたる)が池に来たから、俺は釣りをやめて、甘えてくる(ひそか)と一緒に彼女の様子を何気なく眺めていた。すると、(きたる)は池の魚を捕らえて貪り始めた。やはり食事の為に来たようだ。


ただ、小さくて動きの素早い魚を捕らえるのはワニ人間(クロコディア)にとっても容易ではないらしい。力は強いので大型の魚がいくら暴れてもそれを圧倒できるものの、小さな魚が相手だとそれも簡単ではなく、それなりに苦労をしている様子が見える。


これを見る限り、ここに来るのは食事の為というのが大きい気もするな。わざわざ手間のかかる小さな魚を捕まえようとしてるくらいだから、腹が減ってるんだろう。


ワニ人間(クロコディア)は仲間同士でも餌を奪い合うという習性があるからな。(きたる)も決して弱いわけじゃないが、力も体格も彼女以上の個体がゴロゴロいる中では十分なアドバンテージにはならないか。


「ん…?」


するとその時、俺は別の気配を感じてそちらに視線を移した。


(すい)……?」


ぱっと見が姉の(しょう)以上に母親そっくりだから時々ハッとなってしまうが、それは(すい)だった。(すい)が家の屋根に降り立ったんだ。しかも池にいる(きたる)を眺めるかのように見下ろしてる。


タカ人間(アクシーズ)である(すい)にとってワニ人間(クロコディア)は天敵の一種である。河で魚を捕まえようとした時に水中に潜んでいて、襲い掛かってくることがあるからだ。


それで捕らえられてしまうと水中に引きずり込まれて一巻の終わりである。水中ではタカ人間(アクシーズ)の羽はただただ邪魔なばかりで足を引っ張る形にしかならないしな。


だが、ここではそんなことはなく、(すい)(ちから)(はるか)(きたる)(あきら)のことは<敵>とは見做してない。


それでも、巣立ってからは河にいるワニ人間(クロコディア)に、同じタカ人間(アクシーズ)の仲間が襲われて命を落とすところを何度も目撃したこともあってか、(きたる)達以外のワニ人間(クロコディア)についてはしっかり敵だと認識している。


でないと、(きたる)達と同じとみて迂闊に近付けば死ぬのは(すい)の方だからな。その辺りをわきまえてくれたのは俺も胸を撫で下ろしたよ。


その(すい)が、(きたる)を見ている。それがどういう意図を持ってのことなのか、それともたまたま(きたる)がいるから様子を窺っているだけなのかは分からないものの、とにかく池の方を見ていた。


ちなみに、(すい)はこの池では狩りはしない。だから魚を狙ってるわけでもないと思うんだが、はてさて、何を思ってるのやら。



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