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人間の世界が(出来上がる可能性が)

(ごう)が群れに加わったことでほぼ自動的にボスの座に収まることになった。


と言っても、ある意味では駿(しゅん)との二人ボス体制とも言える状態だと思うが。


実際、最初の頃、仕切っているのは八割方は駿(しゅん)だった気がする。


それでも、駿(しゅん)の方も心得てきたのか、時間が経つにつれ、群れの仕切りを(ごう)に任せるようにはなっていったようだ。


まあ、半分以上はそっちの役目を丸投げして自分は子供らの面倒を見たかっただけかもしれないけどな。


ボクサー竜(ボクサー)らしく非常に気性の荒い筈の彼女が、子供達には優しかった(あくまでボクサー竜(ボクサー)基準でだが)。


ただ、その接し方が、どこか(ろく)号機を彷彿とさせるんだよな。子供達が自分の周りでちょろちょろと遊んでいてもあまり怒ったりしないとか、移動中にはぐれそうになった子がいたら引き返して迎えに行くとか。


どれも陸号機が彼女に対してやっていたことだ。


レッド、ブルー、イエローがあんな風になったのも、その辺りが影響してるのかもしれない。元々の性格に加えて駿(しゅん)の接し方が顕著に表れた例だろうか。


こうやって、環境や状況に合わせて習性も微妙に変化していくのかもしれないな。


そして世代を重ねることで、犬が人間の良き友人になっていったように。


そうだ。状況の変化と言えば、(じゅん)が現れたことで、(ひかり)(あかり)が子供を残す可能性がぐっと高くなった。いや、それこそ(あかり)はまだそこまでじゃないかもしれないが、(ひかり)はかなりそのつもりっぽい様子を見せてきている。(じゅん)を労わり、少しでも人間らしく振る舞えるように彼を導いている。


そうすることで自分の<伴侶>に相応しい男になってもらおうとしてるんだろう。


それに加え、今後ももし、(じゅん)のような事例があれば、当人がそれを受け入れるなら、積極的にここで保護していくことになると思う。


今現在も、(じゅん)のような子供はごく稀ながら生まれているはずなんだ。その殆どが親に育ててもらえずにすぐに死んでしまうはずでも、もし、俺達がそういう子供を見付けたら保護していこうという話になっている。


そういう子供が命を落とすのも自然の摂理なのかもしれないが、俺達が一切干渉しなくても(じゅん)はずっと生き延びた訳で、そういう例も現に存在する。そして、今の俺達にはそういう子供を保護して育てていける力もある。俺もいるし、シモーヌもいるし、(ひかり)(あかり)もいるし、エレクシアやセシリアもいる。


育てられもしないのに保護しようなんてのは思い上がりかもしれないにしても、ここには人間が生きられる環境がある。光莉(ひかり)号とコーネリアス号があれば、エレクシアもセシリアもイレーネもメイフェアも、理論上は少なくとも数百年は機能を維持できる。


そうすると、徐々に<人間>の数が増えていく可能性もゼロじゃない。


ここに、<人間の世界>が出来上がる可能性が出てきたということなんだ。



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