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孤高のアサシン竜(何を思っていたのか)

アサシン竜(アサシン)との会敵で駿(しゅん)達の群れに犠牲はあったものの、野生ではこれでも十分に大勝利ってことなんだろうな。群れそのものが危機に陥るほどの被害じゃなかった訳で。


正直、俺としても駿(しゅん)達にはそれなりに情も感じてしまってるので、アサシン竜(アサシン)の亡骸を貪った後に血まみれの顔を上げて周囲を油断なく見回す駿(しゅん)の姿がどこか誇らしげにも見えた。


そんな彼女が支えるボスも、堂々たる佇まいを見せている気がする。


だがその一方で、俺個人としては、アサシン竜(アサシン)のことも想わずにはいられなかった。


結局、どういう経緯で渡ってきたのかも分からない。他の個体は見当たらない。ただ一匹でこちらに渡ってきて、生きて、戦って、そして死んだ。


その最後を悔やんでいるのかいないのか。


いや、命を落とすことになったのは悔やんで当然だと思うが。


ただこのアサシン竜(アサシン)もたまたまこんな最後を迎えることになってしまっただけで、この為に出てきた訳じゃないということだけは分かっておいてやりたいと思う。


墓まで作ったりはしないものの、心の中では悼んでた。


『俺の人生の中ではお前は端役だったかもしれないが、自身の生涯の中では間違いなく主役だったんだろうな。見届けさせてもらったよ。お前の命を……』


最後まで生きることを諦めずに戦った姿は尊いと思う。間違いなく『生きる』ということそのものだったよ。




そんなこともありつつ、改めて駿(しゅん)達の様子を見る。


彼女自身のパートナーでもあるボスに勝るとも劣らない太々しい面構えの駿(しゅん)は、この群れの<真のボス>に相応しい風格を漂わせていた。


そんな彼女とボスである(ごう)との馴れ初めは、実に『らしい』と言えば『らしい』ものだったかもしれない。


インプリンティングによって親だと思い込んでいた(ろく)号機の下を、成長したことで一旦は巣立っていった駿(しゅん)だったが、その後も陸号機の姿が見える辺りからは完全に離れてしまうことはなかった。


と言うか、俺達や陸号機がいることで他のボクサー竜(ボクサー)が寄り付かなくなったその辺りを彼女は自分の縄張りと決めたということだったらしい。


それは本来、雄がすることなんだが、陸号機の下で、他のボクサー竜(ボクサー)とは離れて育った彼女は、どうも雄とか雌とかいう感覚が十分に発達していなかったのか、もしくは一匹狼的になってしまったのか、普通のボクサー竜(ボクサー)の雌とは違った振る舞いをするようになっていたんだ。


それこそ、雄が、同じように群れから巣立った若い他の雄と仲間になっていって群れをつくるようにして、今の群れを作ったんだよな。



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