キャサリン編 命じられてないことは
『もしロボットが盾になっても防ぎきれないくらいの強力な爆弾を使って何十人もの人間の命を奪おうとするなら、結果的に命を落としても仕方がない対処をする場合もある』
対テロ用の部隊に配備されてるロボットなんかがまさしくそれだな。一般的な<場当たり的犯罪>については実行犯自体がそこまで覚悟の決まった<プロ>というわけでもない事例がほとんどだから一般仕様のメイトギアででも十分に制圧できたりするんだ。しかも命までは奪わずに。
しかし戦闘訓練を重ねた<プロのテロリスト>の場合だと当然のこととして<対ロボット戦闘>も想定して作戦を立ててる場合も多いし、手加減していては味方に被害が出る危険性もある。ゆえにテロリストの命よりも味方や市民の保護を優先しテロリスト側に犠牲が出る可能性があっても緊急避難的な対処をすることがあるわけだ。
が、人間として認めていない朋群人同士が諍いを起こしてもそれは、
『野生動物同士が衝突してる』
のと同じ扱いになり、基本的には静観するだけなんだ。前にも触れたように、<ペット>であれば<人間の財物>だから守るために動いてもくれる。さりとて完全に誰の財物でもない野生動物同士が衝突するのはそれ自体が<自然の摂理>のようなものだからロボットが干渉しなきゃいけない理由がない。例えば朋群人同士で強盗事件が発生しても被害者を守ろうとさえしてくれないんだ。それじゃ拙いわけで。
それはないと思うもののもしサディマがキャサリンにちょっかいを掛けてそれで彼女の逆鱗に触れ殺されそうになっても守ってくれないってことだな。
まあそこは俺があらかじめ命じてあるから止めてくれるはずだが。ただしそれはつまり、
『俺が命じてない事例については不干渉を貫く』
という意味でもある。そうだな。交や環の子孫については俺は把握できていないから完全に野生動物状態で、もし命の危険に曝されている状況に出くわしても放置するだろう。俺が自分の血縁者だと認識できていないから命じようもないわけで。命じられてないことはする必要もないわけで。ロボットとはそういうものだ。
その辺りの<設定>については<地球人社会製AI>のそれを流用することになるだろう。あくまでも『誰を人間するか?』の部分についてはまったく新規で作らなきゃいけないというだけで。
でもなあ、それがまず膨大なんだよなあ。地球人社会であっても感情的に、
『こいつは人間とは認めたくない』
的なのがあったわけで。




