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キャサリン編 凶悪犯といえども人間

ああそうだ。現在の地球人社会に存在する<便利な道具>の多くはかつての地球人がフィクションの中などで想像したものが実に多い。超AIやロボットはその最たるものだと思う。


しかし同時に、今のAIやロボットがフィクションの中では当たり前のようにそうだった<戦争の道具>でないのは、実はAIやロボットをいかにして戦争の道具として活かすかを散々あれこれ考えられていたからそうならないようにと徹底的に封じられたらしい。皮肉なものだ。


当然<朋群(ほうむ)製AI>についてもそこは踏襲されることになる。その上で<朋群(ほうむ)人ならでは>の諸々も考えていかなきゃいけないだろうな。


が、今の時点では正直なところ<朋群(ほうむ)人ならではな部分>についてのデータがまだまだ十分じゃない。なにしろ俺達の身近な人間しかいないから基本的にAIやロボットをそんな形で利用しようという発想がない。


もちろん<自分達を守る道具>として使う分には現状で何も制限は掛けられていない。あくまで、


『自分の勝手で誰かを傷付けようとする』


ことについては制限を設けられているだけだ。本来の設定として。<地球人社会製AI>は朋群(ほうむ)人を人間(地球人)と人間とは認識しないが、そもそも<地球人社会製AI>も人間以外の生き物を虐げるようには設計されていない。どこまでいっても、


『人間の身体生命に危険が及ぶとなれば容赦しない』


だけであって人間の身勝手な欲求のために他の生き物を虐げたりもしないんだ。つまり俺が命じたところで朋群(ほうむ)人を一方的に虐殺したりはしないんだよ。ましてや朋群(ほうむ)人に命じられて他の朋群(ほうむ)人を虐げるなんてこともしない。そんな命令には従わない。


だから今すぐ何か手を打たなきゃいけないわけじゃなくてもやっぱり朋群(ほうむ)人を人間と見做してくれないと不具合も出てくるだろうし。


虐殺はしなくても地球人の身体生命を危険に曝すとなれば容赦はしない場合もある。グンタイ竜(グンタイ)の襲撃の際にエレクシアやセシリアが容赦なく殺していったように。


しかしこれが地球人同士の場合だと、たとえ強盗などの凶悪犯が相手でもロボットは自らを盾にして守ってはくれるものの基本的に命までは奪わないんだ。凶悪犯といえども<人間>だから。ここで人間のように自分の感情を優先して『凶悪犯は人間じゃない』的な考え方はしないんだよ。


例えばもしロボットが盾になっても防ぎきれないくらいの強力な爆弾を使って何十人もの人間の命を奪おうとするなら、結果的に命を落としても仕方がない対処をする場合もあるが。



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