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キャサリン編 欲ボケの戯言

相堂(しょうどう)幸正(ゆきまさ)のような地球人もいるとしても、それはあくまで例外的な存在であって、それをもって、


『地球人も野生化できる』


などと口にするのは暴論以外の何ものでもないだろう。そんなのが通用するほどこの世は甘くない。しかしそれは同時に<例外的な存在>が現れる可能性を否定するものでもない。実際、地球人社会の歴史上には、


<常軌を逸した才覚を発揮した者>


の存在が何度も確認されている。それがどういう形で発揮されるのか、誰かを笑顔にするためか、それとも地獄を作り出すためか、そこはいろいろだったとしても。


なんてことを考えてみたら、今の朋群(ほうむ)の世界は、この僅かな人数で本当に途轍もない才覚を発揮してみせる人間が当たり前のようにいるんだから、もうそれだけで大変なエンターテイメントのような気さえする。


キャサリンもまさしくその一人だな。


そんな彼女を人間として認めるために俺達は頭を絞らなきゃいけない。サディマも、


「私は彼女を人間として愛したい」


と口にしている。まあ相手が『まだ十歳にも満たない』と考えるとかなり『ヤバい』印象にもなる発言ではあるが。


しかし<アラニーズ>としてはキャサリンはもう立派な<大人>だろう。ヒト蜘蛛(アラクネ)に至っては四~五歳で成体(おとな)と言えるし。見た目だって<妙齢の女性>そのものだ。その辺りの認識の乖離についても煮詰めていかないとな。


が、さすがに<生物学的な見地>と<人間としての実感>の間にも大きな乖離があるわけで、そこを蔑ろにするのも違うと思う。


改めて言うが、地球人には、


<女性として最も価値のある年代>


について『生物学的に』語るのもいたりしたものの俺はそんなものは、


<欲ボケの戯言>


だとしか思わない。<心というものを持つ動物である人間>をまるで無視した妄言だとしかな。


十代半ばで人間としてちゃんと自分の力で生きていくことができるというのか? 老化抑制処置が実用化されて<十代半ば>なんて本当にただの子供としか思えなくなった今だけじゃなく、二十一世紀頃でさえ、


『十代半ばでもう立派な大人だ』


だとか本気で考える人間がどれだけいた? もしそんなことを真剣に考えていたなら十代半ばで子供を生んで親になる者を蔑むようなのがいるはずもないだろう? だから実際には『十代半ばでもう立派な大人だ』だとか実際には思ってないということだろうさ。ただただ<自分の欲求の捌け口として都合のいい道具>を正当化しようと考えていただけだろう?


どこまでも浅ましい。



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