キャサリン編 人間よりも野生動物の方が尊い
そうだ。地球人の中には、
『人間よりも野生動物の方が尊い』
的に考えてるのもまあまあな数いたと思う。そしてそういう者達の中には、人間(地球人)以外の生き物に対して事務的な対応しかしないロボットについて毛嫌いしているのもいた。そしてそれを切っ掛けにして<AI・ロボット排斥主義者>になっていくなんてのも少なからずいたらしい。
だが、別にAIもロボットも、
『人間(地球人)以外の生き物を虐げてる』
わけじゃない。あくまでも、
『人間(地球人)を優先してる』
だけだ。<人間(地球人)の幸福に資するための道具>として。そういう道具として作り出されたのはAIやロボットの責任じゃない。AIやロボットに責任はない。にも拘わらずAIやロボットをそんな理由で毛嫌いするのは酷くないか?
と、かつてメイトギアを毛嫌いしてた俺が言えた義理じゃないのは分かってるさ。しかしだからこそ自分が理不尽なことをしていたと思い知らされるんだ。もっともAIもロボットもそんな理不尽を気にしたりもしないが。
ただ、エレクシアが言うには、
「マスターに嫌われてるかもしれないと考えるとメインフレームに負荷が掛かるのは事実ですね」
とのことだった。人間が感じているそれに比べれば微々たるものらしいがロボットもストレスは感じるんだ。まあそれを、
<ロボットが心を持ってる証拠>
だと考える人間(地球人)もいて、話がさらにややこしくなる原因になってるな。なにしろ、
『AIやロボットにも心があるからこそ作ってはいけない』
と主張するのもいてそう考える者の中には<AI・ロボット排斥主義者>と合流するのもいるそうだし。
本当に面倒な話だよなあ。
ただし、だからこそ単純に<AI・ロボット排斥主義というカテゴリ>では括れないというのもある。そして同じカテゴリ内にいても『実は本質的な部分では別物』というのもままある。で、それが原因で仲違いすることもあると。
表面的な部分の主張だけで<仲間>と判断するとかえって面倒なことになったりもするんだよなあ。
本来の<AI・ロボット排斥主義者>は基本的に人間(地球人)以外の生き物には別に関心がなくて、<人間(地球人)以外の生き物至上主義>だからこそAIやロボットを認めない連中とは本当は相容れない存在だったり。
そういう部分をちゃんと見ないで<仲間>だとか、どこまでも物事の一面しか見てないないんだなと感じる。
そんな人間に何が見えるんだかとつくづく思うよ。いつもながら。




