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キャサリン編 かなり特異なタイプ

『私は彼のことが好きじゃありません』


俺の知ってるビアンカは普段、他人のことをあまり()(ざま)に言うようなタイプじゃなかった。もちろん好き嫌いはあるにしてもあまり露骨に悪く言ったりしてるところをほとんど見た覚えがない。その彼女がそこまで言うのは相当だな。


さらにビアンカは、


相堂(しょうどう)伍長は、望んで軍人になった人じゃありません。当人の体のこともあって、コントロール下に置くためにある程度の自由を保証してもらう代わりに軍属になるのを受け入れた人です。だから軍人としての矜持とかそういうのはまったく持ち合わせていないんです。それで少佐…遥偉(とおい)に対して事あるごとに反発して噛み付いて、命令無視も一度や二度じゃありません。どうしてあんな人がチームに選ばれたのか、私にはまるで理解できません」


と一気にまくし立てる。その様子からも<相堂(しょうどう)幸正(ゆきまさ)>なる人物はかなり特異なタイプなんだろうと伝わってきた。『ゴリラ並みの筋力を持つ』という点についてはここだとそれほどの異才ではないにしても、キャラクター的には強烈そうだ。


「いささか扱いは難しいかもしれないけれど、もし彼が合流することになった場合は僕が担当するから心配は要らないと思うよ。なにより任務中に致命的なトラブルを起こしたことはないからね」


ビアンカの様子とは違い久利生(くりう)はあくまでも冷静だった。そういうところからも<難しいタイプ>の相手には慣れているのが窺い知れる。まあ、


『自我を殺し徹底的に家のために生きることを強いられてきた』


なんて人生を送ってもなお決定的に壊れずに済んだメンタルタフネスぶりを考えればそれほど不思議でもないのかもしれないが。


加えて、ビアンカからの評価は<最悪>レベルのようであっても仮にも惑星探査チームに算出される人物である以上は十分に理性的なんだろうとも思う。それでも人間同士<相性>もあるからなあ。どうにも『ウマが合わない』『反りが合わない』『生理的に無理』という相手もいる。ビアンカにとっては相堂(しょうどう)幸正(ゆきまさ)がそうなんだろう。


そんな感じの相手が現れてもお互いに穏当に生きていけるようにいくつも<集落>を用意したんだしその辺りは距離を置くことで、あまり頻繁に直に顔を合わせるような状況は作らないようにすることで対処しよう。AIやロボットにはそういう役目もある。『ウマが合わない』『反りが合わない』『生理的に無理』な人間同士がお互いに距離を置けるようにするという役目が。



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