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キャサリン編 責任は問われない

とはいえサディマも人間だからな。久利生(くりう)が誰にも自身の弱さを気取られないように隠してきたのと同じく隠している一面があるかもしれない。むしろない方が普通じゃない気もする。ルイーゼのように。


ルイーゼは本当に裏も表もなくあのままの人間なんだそうだ。だから当人としては何一つ無理することなくただただ研究に没頭しているだけという。


まあシモーヌ達の印象からするとサディマもどちらかと言えばルイーゼに近いタイプとのこと。あくまでもルイーゼほど極端ではないだけで。もっともそれはシモーヌ自身も同じか。研究に没頭すると錬慈(れんじ)を俺に任せたきりで端末にかじりついている彼女の姿は俺の目から見たらルイーゼと大差ないんだよな。俺自身はそれを不満に感じていないから問題にならないものの、パートナーのそういう一面に不満を抱いて別れる者も少なくないと聞く。


ただそこは個人的に、


『いや、パートナーになる前に気付くべきじゃないのか?』


と思ってしまったりする。そういう意味でも<一目惚れ>というのは、


『相手の様々な面を知る前から気持ちを昂らせてしまっている』


わけで、リスクが高いよなとは正直思うんだ。その辺はあくまで俺がそう思うというだけで、だからこそ(ひそか)達の気持ちを受け入れることにも躊躇ってしまったりしたんだが、別に一目惚れというものを完全に否定してるわけじゃないんだ。その一方でサディマとキャサリンの場合にはどうなるか慎重に見守っていきたいというのも正直な気持ちではある。無責任に、


『自分の気持ちに正直になるべきだ』


とは言えない。軽々しくそういうことを口にする人間が自分の発言を真に受けた者の行いとその結果について責任を負ったという話も聞かないし。


サディマのことも応援したい気持ちはあるもののやっぱりまずはキャサリンを優先したい。


と言うか、迂闊なことをすれば危険なのはサディマの方ではある。と同時に、サディマが『常識の範囲内でキャサリンにアプローチする』のは地球人社会での法でも禁止されているわけじゃないしここでもことさら禁止するつもりはない。しかしもしキャサリンがサディマを傷付けるようなことがあれば地球人社会ではそれは<不法行為>にあたる。例えるなら、


『信号のない交差点の横断歩道を歩行者が通行していて自動車がそれを撥ねれば自動車の側が罪に問われる』


のに近いだろうか。


『自動車が近付いているのに横断歩道を渡る』のは、ほんの数メートル程度の位置にまで近付いた自動車の前に走って飛び出すようなことがない限りは歩行者側の責任は問われない』


からな。



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