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キャサリン編 都合のいいAI

『死んだ人間を生き返らせるのは不可能』


もはや<魔法>と変わらないくらいに医療技術が発達しても、いまだに『死んだ人間を生き返らせる』ことには成功していない。だから、


<取り返しのつかないこと>


というのは今も存在している。だからこそそうならないように<それを回避する手段>を人間(地球人)は模索してきた。取り返しのつかないことになる前にセーフティネットによって救い上げるんだ。事故率や犯罪発生率が低くなっているのはそのおかげもあるとのこと。残念ながらゼロにはなっていないもののきっと二十一世紀頃の人間(地球人)からすれば奇跡のようにも思えるだろうなという気はする。


けれど、人間個人個人は決して<数字>じゃないから不幸にも<取り返しのつかないこと>に巻き込まれた当事者にとってはどれほど事故率や犯罪発生率が低くても意味がない。起こってしまった時点で<百パーセント>なわけで。


被害が回復できるように努力も続けられているものの、物品や金銭はどうにかなっても『死んだ人間は生き返らない』以上は限界がある。ましてやここでは地球人社会の医療技術は完全には再現できない。だからルコアの体には牙斬(がざん)襲撃の時の傷跡が残ってしまっている。ファンデーションによって見えにくくなっているだけだ。ルコア自身もその傷跡についてはさほど気にしてないものの誰もがそうなれるわけじゃない。<事故や<事件>は回避するべきなんだ。可能な限り。


今の時点でもドウが常に彼女の傍にいてくれるのが大いに役立ってるとはいえ、対処の精度を上げていくにこしたことはないし。そしてその鍵を握っているのがサディマというのが何とも皮肉ではある。キャサリンとの間で<事故>が起こらぬよう、<間違い>が起こらぬよう、もし起こりそうになった時にはドウが適切な対処をしてくれるようするべくAIを設計してもらうわけで。


ちなみにもし彼が、


<自身の欲望を叶えるのに都合のいいAI>


を作り上げようとしても、もしそれが俺の意図に反するようなものであったなら光莉(ひかり)号やコーネリアス号のAIおよびエレクシアもセシリアもメイフェアもイレーネもアリアンも鈴夏(すずか)もそのAIを受け入れてくれないだろう。それどころか敵対さえするだろう。<朋群(ほうむ)製AI用のハードウェア>は地球人社会製のそれとは比較するのもおこがましい程度の性能しか持たないから、まともに相手にすらならないだろうが。


まあ彼がそんなことをするタイプでないのはシモーヌ達から保証してもらえてる。



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