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キャサリン編 防疫センター

取り敢えずサディマにはまずゆっくりと体を休めてもらい、気持ちも落ち着けてもらうことにした。


そんな彼の世話を行うのは<防疫仕様のホビットMk-Ⅱ>だ。万が一の場合には『使い捨て』も想定してある。現状では対処できないような病原体に汚染された場合には再利用せずそのまま廃棄処分するために。なので<繊細な作業>には対処できるようにしつつ<頑強さ>はそれほど必要ないということで、強度については通常仕様の八十パーセント程度に抑えてあったりもする。


が、実は<コーネリアス号内の防疫室>で対処するのはそもそも本当に『念の為』という事例に限っているので正直なところあまり意味がなかったり。マジでヤバそうな事例についてはコーネリアス号からまあまあ離れたところに新たに建設した<防疫センター>で対処することにしてるんだよ。


建設以来、一度も使われてないけどな。


とはいえそこに配されているのはすべてホビットMk-Ⅱであり<ダミーの集落>の役目も与えてあるから人間のように、


『閑職に就かされた』


的な不満が出ることもない。加えて<防疫センター>周辺の畑は草食獣達の餌場だ。さすがにそこで収穫されたものを普段の食料品として利用するのは憚られるし。


いや、その畑の作物を俺達が食べるのも科学的にはまったく問題ないものの<気分の問題>で。


とまあそれは余談なのでさておくとして、サディマは出された食事はしっかりとたいらげ、風呂に入って寛いで、今は<この世界>についてまとめられた資料に目を通しているようだった。現状を把握し自らを適応させていくためだろう。そのためには『何ができて』『何ができないか』も理解する必要がある。


おそらく彼自身にとってもこうして情報がまとめられていることは非常にありがたいだろうな。特に理性的な人間にとって情報は何よりも大事だ。その情報が果たして正しいものであるか否かも含めて検証する必要があるし。


もっともそれはこっちにとっても同じ。彼が本当に俺達と<仲間>になれるのか否かを見極めさせてもらわなきゃならない。現時点ではシモーヌや久利生(くりう)やシオやレックスやルイーゼと同じく、


<透明な以外はただの人間>


であるものの、もしかしたら俺達にとって危険な<何か>を秘めている可能性だって完全には否定できない。何が切っ掛けでそういうものが表面化するか分からない。


だからしばらくの間、様子を見させてもらうしかない。これはサディマ自身も納得してくれていることだ。



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