キャサリン編 まさかそんなことが……!
『その辺りは色々複雑で、説明が難しいんだ。だから落ち着いてから説明しようと』
そう言った俺にサディマは、
「むしろその辺りは今の内に情報として欲しいと思う。一週間は自由になれないならなおさらね」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべて応えてみせた。そもそも現状でさえ受け止めるのが大変だろうに、メンタル面でもタフな人物だと思わされた。
まあそもそも惑星探査なんて仕事を引き受けようという人間がメンタル弱々だったら話にならないんだろうが、シモーヌやビアンカでさえ一般的な地球人に比べてもかなりメンタルは強い方だと思う。場合によっては今でも自分が置かれた状況を受け止められずに精神を病んでしまう者だっていても不思議じゃないだろう。にも拘らずこれとか、圧倒されずにはいられないよ。
とは言えただ圧倒されてるわけにはいかないし、
「分かった。そういうことであればここからは<お客様扱い>というわけにはいかなくなるが、大丈夫だろうか?」
俺は姿勢を正し改まった様子で告げた。これにサディマも、
「望むところだよ。仮にも他人のプライベートな部分に踏み込もうというんだ。その上でお客様扱いを望むほど私も厚かましい人間でいたいとは思わない」
畏まった表情で応える。だから俺も別窓でビアンカに目配せをして彼女がしっかりと頷いてくれたのを確認し、
「ビアンカは<アラニーズ>という種族だと言ったが、その中でも透明な体を持って顕現した彼女は特別な存在で、複数の遺伝子をその体に備えているんだ。これによって生じた精細胞と卵細胞が結合し、彼女はケインとイザベラとキャサリンという三人の子を産んだ。だからこの三人にとってはビアンカが母親であると同時に父親でもあるんだ」
事実を端的に告げた。すると、
「そうか、久利生の子ではないんだな……」
残念そうに呟く。しかしそれに対しては、
「ああ、ケインとイザベラとキャサリンの三人については確かに久利生との血縁はないが、実は<久利生との子>もいるんだよ」
と俺が告げる。すると当然のように、
「どういうことだい?」
彼が困惑するから、
「アラニーズの<地球人そっくりな部分>は<アラニーズとしての頭部>なんだが、それと同時に地球人としての臓器も一部機能していて、そちらでは地球人相手での妊娠も可能なんだ。実際にそれでビアンカは久利生との間に一子をもうけている」
改めて説明すると、
「! まさかそんなことが……!」
身を乗り出して驚いてみせたのだった。




