キャサリン編 雨は好きじゃない
なんにせよキャサリンはドウと良好な関係を築いているんだからそれについてはとやかく言う必要も感じない。ドウとそれ以外をどう区別しているのかもさほど重要じゃない。危うい状況が危ういバランスの上で均衡を保っているような事態ならまだしもそこまででもないわけで。
で、軽くとはいえ食事を終えたキャサリンは部屋の隅に自ら作った<寝床>に着いて、地球人そっくりの部分についてはアラニーズ用の特大クッションに抱きつくようにして眠ってしまった。家の外は激しい雷雨であるにも拘らずまるで気にしてる様子もない。雨は好きじゃないようだが、雷についても警戒はしているようだが、怯えたりしている風じゃない。比較的近くで落雷があっても険しい表情で体を緊張はさせるもののパニックにまでは陥らない。
本当に大した子だと思う。まあこの辺はイザベラも似たような感じか。対してケインは母親のビアンカのすぐそばで体をすくめて小さくなっていたりする。ただ彼もパニックまでは今は起こさなくなった。もっと小さかった頃には家の中を逃げ惑ったりもしたが、さすがに家の中であれば大きな危険はないことを理解できたようだ。
そうして一時間ほどで雷雨は去り、快晴に戻ったもののキャサリンはもう家から出ようとしなかった。ぬかるんだ地面が乾くには明日までかかるのを知っているからだろう。アラニーズの脚は接地面積が小さく、その気になれば時速四十キロを大きく超える速度で走れる代わりに地面がしっかりしていないと沈み込んでしまって非常に歩きづらくなる。だから基本的にキャサリンだけじゃなくイザベラ もケインも雨は好きじゃなかった。雨の中で出掛けることはしないし地面が乾くまで出歩くこともほとんどしない。
まあ、雨が好きじゃないのは、体に生えた毛が濡れると目や耳を塞がれたような感覚になるかららしいが。これはビアンカが説明してくれたものだった。
子供達三人の中では最も語彙力のあるケインでさえそういうことを上手く説明するのはまだ難しいみたいで。もちろんキャサリンはまったく説明なんかしてくれない。が、彼女は振る舞いが素直だからかなり分かりやすい方だと思う。むしろ地球人の方が何を考えているのか分かりにくいタイプは少なくないと思う。
とにかく彼女は雨は好きじゃないんだ。だから家に籠もる。
そして彼女に対して攻撃的に接したり強く不快にさせたりしなければ彼女の方から攻撃してくることもない。
それをちゃんとわきまえなきゃな。




