キャサリン編 保護
『助けてくれ!』
サディマの救援要請にホビットMk-Ⅱの一機が、
「コレヲ」
と言いつつ予備のレインポンチョを取り出して彼の体に掛けた。気温自体はそれほど低くないがこの激しい雨に打たれ続ければ体温が奪われて低体温症にさえなりかねないからだ。
その上でホビットMk-Ⅱが二機、マニピュレータを組み合わせて<簡易のキャビン>を作り、片方のホビットMk-Ⅱの脚の二本をもう一方のホビットMk-Ⅱのボディに組み付けて<シート>を作り、
「ドウゾ、オノリクダサイ」
と告げた。その姿はさしずめ、
<六本脚のバイク型ロボット>
という感じだな。後から向かわせた部隊には<車椅子型ロボット>も含ませているが、今はまず敢えて移動することでサディマに安心感を与えることを優先する。雷雨を振り切れるほどの速度は出せないにせよじっとしているよりは逆に落ち着くだろう。
この雷雨の中でビバークするための装備は持ってきていないし。
「スコシ、ユレマスガ、ゴシンボウネガイマス」
六本脚で走りながら告げるホビットMk-Ⅱにサディマも、
「ああ、分かった」
はっきりと頷いた。実に理性的な態度だ。元々の人間性が伺い知れる。さすがは惑星探査チームに選出されるだけのことはある。
できればこのまま事情も説明したいところではあるもののこの激しい雷雨の中でというのはさすがに憚られるな。とにかくコーネリアス号で保護して落ち着いてからだ。
そうしてコーネリアス号の方向に向かって走っていると、雨のカーテンの向こうにキャサリンの姿が。精々二百メートルも離れていないが彼女がいる辺りにはまだ雨は降っていなかった。
と、キャサリンの方もドーベルマンMPMやホビットMk-Ⅱの姿に気付いたようで、隣にいたドウが少し険しい表情になった彼女の顔を捉える。
しかしやっぱりキャサリンもサディマに気付いていたんだろうか。だが、気付いてどうするつもりだった? まさか襲い掛かろうとしてたのではないと思いたいが……
いずれにせよロボット達とサディマの姿を睨みつけるようにして見た彼女はそのまま踵を返して来た道を戻り始めた。今度は雷雨から逃げるかのように一目散に。
その彼女の頭上をサディマの保護のために出動した部隊が通り過ぎる。直後に降下し雷雨に入る前にドーベルマンMPMとホビットMk-Ⅱ及び車椅子ロボットを降ろしてすぐさま離脱。それとほぼ同時に雨が降り出した。
なお、車椅子ロボットにはオプションの簡易キャノピーが装備されている。乗る人間が雨に濡れないようにするためのものだ。




