キャサリン編 変わり映えしない日常
『地球人社会製AIの認識ではキャサリンも素戔嗚も人間じゃない』
と言うよりは、
『現状では神河内・フィッツジェラルド・錬是以外は人間じゃない』
と言った方が正確か。光莉号のAIもコーネリアス号のAIもエレクシアもセシリアもメイフェアもイレーネもアリアンも鈴夏も、俺以外は人間として認識しないし、ここで作ったアリスシリーズもドライツェンシリーズもそこは同じ。コーネリアス号に残されていた予備のユニットを用いてビルドされたAIだから当然ではある。ましてや光莉号やコーネリアス号のAIが制御しているドーベルマンシリーズやホビットシリーズは言うまでもない。
それでもAIやロボットは人間(地球人)のように、
『人間じゃないと見做したものを蔑む』
ということがないから俺に危害が及ばない限りはたとえ危険な猛獣であっても敵対することがないしわざわざ関わることもしない。もし襲われても逃げるか防御に徹するだけで攻撃は基本的にしない。エレクシアならそれこそ逃げに徹すれば追いつける動物はいないし。
だから人間(地球人)以外の動物にとっても害がある存在じゃないのも事実。でも人間(地球人)の命令がないと積極的に守ってもくれないんだよな。例えば人間(地球人)に飼われているわけじゃなければそれこそ子犬や子猫が他の獣に襲われても助けようともしない。
人間(地球人)に飼われていればそれは<財物>だから守ってくれるし、子犬や子猫に危害を加えようとしているのが人間(地球人)の場合は不法行為になるから『人間(地球人)に法を犯させない』ために止めてくれるもののそれは『子犬や子猫を守るため』じゃないんだ。あくまで<守る対象>は人間(地球人)という。
そんなわけで今すぐキャサリンや素戔嗚に不利益があるわけじゃないとはいえ、人間社会が出来上がっていくほどにそれじゃいろいろ不具合が出てくるだろうな。
が、AIやロボットはちゃんと基準さえ作れば勝手な解釈を加えることなく淡々とそれを守ってくれる。そんなことができるのも人間(地球人)のような感情を持たないからだ。『感情を持たない』と言ったら過剰に反応する人間(地球人)もいたが、自分はそうやって過剰に反応するのにAIやロボットはそれをしないのはどういうことだと思ってるんだろう? その辺りは本当に不思議だ。
でもまあそれはさておいて今はキャサリンの話だ。
これまた毎日変わり映えしない日常が淡々と続いてるだけではあるが。




