未来編 そういうものなだけだったら
俺も地球人社会においてはそんな大きな<功績>を残せたわけじゃない。惑星ハンターとしていくつかの植民惑星候補や資源惑星を発見できたもののその手柄も含めてすべて明け渡してきたし。それを別としても俺が残したものはすべて他の誰かで賄うことができる程度でしかなかったんだよ。
だから偉そうに何かを語れるような立場にないんだ。
が、ここじゃ<唯一の地球人>として自分の立場を利用するしかない。<家族>や<仲間>を守るためには。家族や仲間が生きていくのに必要なインフラを整えるには俺の立場が必要なんだ。でもなあ、それは俺が努力して獲得したものじゃない。結果としてそうなってしまっただけのいわば<チート>だ。となるとそんなチートを笠に着て偉そうにするのがどれだけ情けない行いなのか、想像くらいはつくと思う。
ましてや誰かに対して理不尽に振る舞うとか。
そんな俺と同じことができないという地球人は多い。それを蔑むつもりはないものの正直なところ、
『どうしてそんな風にわざわざ厄介事を招くような生き方をするんだろうな』
とは思う。光莉のことで追い詰められて荒んでいた頃の俺も他人に対して当たりが強くなっていて反感を買うような振る舞いをしていたのを覚えてる。あの頃の俺は本当におかしくなっていた。ただでさえ光莉のことで追い詰められているってのにそこにさらに他人からの反発を招き厄介事を生み出すような振る舞いをしていたんだ。それで安らぎなんか求めようもないのは分かり切ってる。
なのにどうしてそんな風にしかできなかったんだろう。って、分かってる。それは俺が<ただの人間>だったからだ。ただの人間だったから目先の感情に振り回されてしまうんだ。
<フィクション作品>に触れても、目先の感情にばかり囚われて自ら厄介事を招くような振る舞いをする人間の姿が描かれていたし、そういう作品の方が『深い』と評されていたのも覚えてる。
でも、どうしてそんな作品に触れてそれを『深い』と評しつつそこから学ぶことができないんだろうというのも不思議だった。作品の中の登場人物が自ら不幸を招くような振る舞いをしているのにどうして自分も同じような振る舞いを続けるんだろうと。
『人間とはそういうものだ』
と言われればそれまでなのかもしれないが、でも本当に『そういうもの』なだけだったら今の繁栄もなかった気がする。どこかで自ら破滅していたとしか思えないんだ。
『そうじゃない』
『それじゃ駄目なんだ』
と思えたから破滅を回避できたんだろうなと。




