調査は交代制（ま、いつまでもごろごろはね）
光は今、俺達と同じでフィールドワークを仕事にしてる。俺達が住んでいるこの台地を手分けして調査してるんだ。俺とシモーヌとエレクシアがチームA。光とイレーネがチームBって形でな。
灯も少し前からやりたがってたんだが、少々、考えなしに突っ走るクセがあり、さすがに危険だからということでその辺りが落ち着くまではと、留守番を命じてた。身体能力的には俺やシモーヌでは最初から勝負にならないくらい高いものの、状況判断に難ありじゃあね。
ただそれも、灯自身も自覚してきてるらしく、かなりマシになってはきてたと思う。そこを光は認めてくれたんだ。
「ありがとう！ お姉ちゃん！」
そう応えた灯は、四十秒どころか三十秒とかからずに用意を済ませてた。いつでも出られるようにと以前から準備してたらしい。
「じゃあ、行ってきます！ パパ、ママ！」
基本的に調査は交代制で、今日は光達チームBが当番だった。俺達は留守番だ。
灯は、今、俺のことを＜パパ＞。シモーヌのことを＜ママ＞と呼ぶ。
ちなみに、鷹のことも＜ママ＞と呼ぶが、イントネーションが微妙に違う。シモーヌのことは若干鼻にかかった感じで『ママ』、鷹のことは普通に『ママ』と呼ぶ。シモーヌの方が好きだが、鷹が自分の本当の母親だということは理解している。
それやこれやで、光とイレーネと灯は、コーネリアス号のローバーに乗って出掛けていった。
「子供ってすぐに大きくなりますね……」
俺と一緒に三人を見送ったシモーヌが感慨深げに言う。それは俺も同感だった。しかもあの子達の場合は、本当に人間の子供よりも成長が速いからな。
それはさて置き、この台地全体を俺達だけで調査するというのはさすがに無理があるが、本気で全部調査するつもりな訳じゃない。何か仕事を作らないとこのままダラダラしてしまいそうだったから、子供達も手がかからなくなったことだし、調査を再開したってだけだ。
しかし、光はこの仕事が気に入ったのか、クールに見えて実はすごく乗り気で、確実に調査をこなしていってくれた。イレーネとのコンビもさすがに息ぴったりだ。
そこに灯が加わる訳だが、さて、どうなることやら。まあ、何か危険があってもイレーネがいれば大丈夫だろうが。
一方、焔、彩、新、凛の四人は、相変わらず仲睦まじくここで暮らしてる。子供ができる気配はないものの、今の時点では当人達がそれを気にしてる様子もない。
ちなみに今は皆、食事の為に密林に入ってる。
と思ったら、焔と彩が帰ってきた。二人ともすっかり、ボノボ人間とライオン人間の成体になってたのだった。
