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未来編 人間に意見するということが

『正しい人間だけが集まって清く正しい社会を築こう!』


そんなことを願った人間が集まってできたコミュニティがかつていくつもあったそうだ。いや正確には今もある。あるが、それらはAIが強く介入してコントロールされたものだった。


対してかつて存在したものは、今ほど進歩していなかったAIやロボットを運用しつつ作ったものだったこともあり、AIやロボットの力はずっと弱かった。『人間に意見する』ということができなかったんだ。法整備もまだ十分じゃなかったし。


だから人間がお互いを傷付け合うようなことをしても、それをやめさせることもままならなかった。


そんな中で<清く正しい人間達>は清廉な理想を掲げそれを実現するために集まりコミュニティを作った。


だが人間というものは、これまでにも何度も言ってきたように統一された規格の下で製造された<工業製品>じゃない。一人一人が独立した人格を持ち自身の脳で考えることができる<生き物>なんだ。だからどれほど同じに見える理想を掲げていても、同じものを見ているはずでも、実はそれぞれ微妙に違っているものなんだ。<正しさ>についてもそれぞれ完全に同じものじゃない。同じものを見ているわけじゃない。


そういう人間が集まって同じ目的で理想の社会を築こうとしても、すぐに意見が食い違ってきてしまう。そして<正しさ>を標榜するからこそ自分の正しさと異なる正しさを持つ者を<異端>と認識するようになってしまう。


加えて人間(地球人)は、知っての通り正しさを盾にするとどんな残酷なことでもできてしまう生き物だ。


そうして<清く正しい社会を築こうとした人間達のコミュニティ>は、分裂するだけならまだましで、対立した相手を迫害し、虐げ、時には命すら奪ったと。


『そうすることこそが正しい』


と考えて。あるコミュニティでは、それこそ<正しくない者>を鞭で打ち据えて『正しさを理解させよう』としたそうだ。


それはさながら近代以前の<過剰な封建社会>のようであったとも。


<自分が思う正しさ以外を許せなくなった人間>


が何をするのかこれ以上ない形で実証してみせたわけだな。


人間は<工業製品>じゃない。<装置の部品>にもなれない。<統一した規格>なんてものは持ち得ないんだ。


そしてAIは<そういう人間の性分>についても学習し、高度に進歩していった。ここでもしAIに<人間のような感情>があったならそれこそ付き合ってられなかったんじゃないかな。


人間(地球人)なんて生き物に。



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